株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

植込み型補助人工心臓(iVAD)【保険適用により様々な機種の選択が可能に。心臓移植適応外患者への治験も開始】

No.4856 (2017年05月20日発行) P.53

小野 稔 (東京大学心臓外科教授)

登録日: 2017-05-16

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

わが国では,2011年4月に国産の植込み型補助人工心臓(iVAD) EVAHEART®とDuraHeart®が健康保険の適用となった。心臓移植への橋渡しのみに適応が限定されたが,1年生存率50%未満の重症心不全の患者が数多く治療されるようになった。13年にはHeartMateⅡTM,14年にはJarvik2000®が健康保険の適用となり,患者の体格や病態に応じて機種を選択できるようになった。iVAD治療には施設認定が必要だが,11年の12施設から16年には41施設まで実施施設が増加し,わが国の各地域で治療を受けることが可能となった。

iVAD患者の術前状態,機種や成績はJ-MACS(Japanese Registry for Mechanically Assisted Circulatory Support)に全例登録されている。16年8月までに564例が登録されており,最近1年間では年間150例程度の装着が行われている。米国では,iVAD装着後の1年および2年生存率が85%,77%であるが,わが国では93%,89%ときわめて優れた成績である1)2)。重症心不全のために退院できない,あるいは入退院を繰り返していた患者が,iVADを装着して通院で治療を受けることが可能となった。職場復帰や復学を果たして,ほぼ通常の日常生活が可能となっている患者も少なくない。16年9月から,重症心不全であるが様々な理由で心臓移植の適応外となる患者(多くは年齢が65歳以上であるため)に対するiVADの治療効果を検証するHeartMateⅡTMの治験が開始された。

【文献】

1) Saito S, et al:J Heart Lung Transplant. 2014; 33(6):599-608.

2) Ono M, et al:Circ J. 2016;80(9):1931-6.

【解説】

小野 稔 東京大学心臓外科教授

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

関連求人情報

関連物件情報

もっと見る

page top