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ディオバン論文不正事件で控訴【東京地検】

No.4850 (2017年04月08日発行) P.11

登録日: 2017-04-06

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ノバルティスファーマ社の降圧薬バルサルタン(商品名:ディオバン)の論文不正事件で、薬事法(現・医薬品医療機器法)違反(虚偽広告)の罪に問われた元社員と同社に対して無罪とした東京地裁の判決を不服として、東京地検は3月29日、東京高裁に控訴した。

この問題を巡っては、研究不正が明らかとなった論文データを用いたディオバンの広告が薬事法違反の疑いがあるとして、厚生労働省が2014年1月に東京地検に告発状を提出。これを受け東京地検は、虚偽のデータを研究者に提供し論文を投稿・掲載させた行為が、薬事法第66条1項が規制する「医薬品の効能・効果に関する虚偽の記事の記述」に当たるとして元社員とノバ社を起訴した。

3月16日の判決で東京地裁は、元社員がディオバン群に有利にするために意図的にデータを改竄したとの検察の主張を認めたものの、学術雑誌の論文掲載に購入意欲を喚起する性質があるとはいえず、薬事法が規制する虚偽広告には当たらないと判断し、無罪判決を言い渡した。
控訴を受けてノバ社は「第二審においても引き続き真摯に対応する」とコメントを発表した。

一審では、データ改竄の有無やその主体が争点となった。二審で検察は判決の法解釈に誤りがあると主張するとみられる。そうであれば、データ改竄によって作り出した「降圧を超えた臓器保護効果」がどれほどの医師の処方行動に影響を与えたのかということも検討してもらいたい。(N)

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