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研究者主導の臨床研究における「侵襲」「介入」の正しい理解 [J-CLEAR通信(70)]

No.4830 (2016年11月19日発行) P.58

山崎 力  (東京大学医学部附属病院臨床研究支援センターセンター長/J-CLEAR理事)

登録日: 2016-11-17

最終更新日: 2016-11-14

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  • 臨床研究の法制化─「侵襲」と「介入」の理解

    「臨床研究に関する倫理指針」と「疫学研究に関する倫理指針」を統合し,2015年4月,「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」(以下,新倫理指針)が施行された(図1)。この新倫理指針は,ここ数年大きな社会問題ともなった研究者主導の臨床研究における不正案件を受けて,臨床研究の信頼性確保をその骨子のひとつとして挙げ,そのために①利益相反の管理,②モニタリングおよび監査,③研究に係る試料及び情報等の保管,を記載している。①はすべての臨床研究を対象としているものの,②および③は,「侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴う研究であって介入を行うもの」が対象となっている。

    また,近々臨床研究の法制化が決定する見込みで,その対象のひとつが「製薬企業等から資金提供を受けた医薬品等の臨床研究」であるが,これには「侵襲なし」「介入なし」の観察研究は含まれないとされる。したがって,臨床研究を正しく行うためには「侵襲」「介入」を正しく理解することが必須である。

    なお,新倫理指針施行に先立つ2015年2月に「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針ガイダンス」(以下,ガイダンス)が公開されている。新倫理指針,ガイダンスともに厚生労働省のホームページなどからダウンロードすることができる。後者は122ページにも及ぶが,臨床研究に関わるすべての研究者が熟読,理解すべきものである。以下,「侵襲」と「介入」を中心に解説する。

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