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介護サービス利用者の負担増に向け議論開始 - 介護保険制度改革

No.4818 (2016年08月27日発行) P.10

登録日: 2016-08-27

最終更新日: 2016-10-30

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社会保障審議会介護保険部会は19日、介護サービス利用者の負担引上げに向けた議論を開始した。
厚生労働省は利用者負担を巡る論点として(1)負担割合のあり方、(2)高額介護サービス費のあり方、(3)補足給付(用語解説)の見直し─の3点を提示。
このうち(1)の利用者負担割合は2015年8月に、従来の一律1割から「一定所得以上の者は2割負担」に引き上げられた。厚労省は引上げ前後で利用者数の伸び率に大きな変化はないとして、負担増による利用控えは起きていないと説明。医療保険の患者負担割合との整合性も考慮すべきとした。
(2)の高額介護サービス費は、医療保険の高額療養費制度に当たるもの。自己負担の上限は高額介護サービス費と高額療養費制度で異なっており、整合性をとるべきか意見が分かれている。(3)の補足給付は受給要件に対象者が保有する不動産を勘案すべきかなどが課題だ。

●介護職員の給与引上げで一部改正
同日の会合ではこのほか、現役世代が負担する介護納付金に、保険者の能力に応じた負担を求める「総報酬割」の仕組みを導入すべきか議論した。
なお政府は今月2日、来年度に介護報酬の一部を改定し、介護職員の給与を月平均1万円程度引き上げることを盛り込んだ「未来への投資を実現する経済対策」を閣議決定した。これは6月に閣議決定した「ニッポン一億総活躍プラン」で打ち出した、介護職員の処遇改善を実現するためのもの。2017年度予算に費用を計上し、財政安定化基金を特例的に積み増す。

●用語解説
【補足給付】
特別養護老人ホームなどの介護保険施設に入所する低所得者に食費や居住費を補助する仕組み。2014年の介護保険法改正では公平性を確保するため、一定額以上の預貯金等がある場合には対象外とするなどの見直しが行われた。

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