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人工弁置換術  【機械弁に比べて,生体弁の使用頻度が著明に増加】

No.4813 (2016年07月23日発行) P.50

田中裕史 (神戸大学心臓血管外科・低侵襲外科)

登録日: 2016-07-23

最終更新日: 2016-10-29

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近年の弁膜症手術,特に僧帽弁手術において,形成術の安定により弁置換術の割合は減少傾向にある。しかし,手術数は2006年に約1万2000例であったものが,13年には2万2000例と著明に増加しており(文献1,2),弁置換術そのものは増加している。
生体弁は機械弁と比して耐久性に劣り,ガイドライン上では,65歳以上の使用が望ましいとされているため,06年の使用比率は大動脈弁,僧帽弁がそれぞれ,機械弁:生体弁で3:4,2:1の比率であった。それが13年ではそれぞれ1:4,1:1となり,生体弁の使用頻度が著明に増加している。これは機械弁で必須とされるワルファリン内服による出血性合併症や,有効な血中濃度維持のための定期的な通院を忌むライフスタイルの変化や,生体弁劣化時に,経カテーテル的に弁を再留置する方法(valve-in-valve)が将来的に現実的であることが影響していると考えられる。
今後も生体弁の使用頻度は増加するであろう。

【文献】


1) 日本胸部外科学会:心臓外科. 2006年学術調査結果. 2006.
2) Committee for Scientific Affairs, The Japanese Asso-ciation for Thoracic Surgery:Gen Thorac Cardio-vasc Surg. 2015;63(12):670-701.

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