株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

がん悪液質の病期分類と治療 【anamorelinが切除不能非小細胞肺癌に効果】

No.4786 (2016年01月16日発行) P.54

三浦智史 (国立がん研究センター東病院緩和医療科)

登録日: 2016-01-16

最終更新日: 2016-10-26

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

がん悪液質は,代謝の障害や進行性の骨格筋量減少や食思不振などにより定義される複合的な症候群で,進行がん終末期患者の約80%に認められる。その病態生理は,神経ペプチドの変化や炎症性サイトカイン,がん─宿主間の相互作用に起因する急性期蛋白質の産生や,摂取カロリーの減少および代謝障害,異化亢進である(文献1)。近年,がん悪液質の病期分類が提唱され,(1)微細な代謝障害を有するが明らかな症状がない“前悪液質”,(2)体重減少や症状を示す“悪液質”,(3)著明な症状と身体機能の障害を示し予後不良な“不応性悪液質”,で(文献2),前悪液質患者の同定が検討されている(文献3)。
がん悪液質の治療は,早期の治療開始によるがん悪液質の発症・進展の制御が目標であり,グレリン受容体作動薬のanamorelinが切除不能非小細胞肺癌患者の体重や筋肉量の増加,倦怠感の軽減の効果を有することが発表された(ROMANA 1, ROMANA 2試験)(文献4)。そのほかにも有望な治療薬の臨床試験が進行中である。また,がん悪液質の治療は,抗炎症療法や栄養療法,運動療法の単独治療では効果がないため,それらを組み合わせた複合的治療が提唱されており,現在欧州を中心に臨床試験(MENAC試験)が開始されている。一方,進行した状況である不応性悪液質の時期では,依然として症状緩和と心理教育が推奨されるのみであり,症状緩和の治療方法の開発も今後望まれる。

【文献】


1) Fearon K, et al:Nat Rev Clin Oncol. 2013;10(2):90-9.
2) Fearon K, et al:Lancet Oncol. 2011;12(5):489-95.
3) Blum D, et al:Ann Oncol. 2014;25(8):1635-42.
4) Temel JS, et al:J Clin Oncol. 2015;33(Suppl:abstr 9500).

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

関連求人情報

関連物件情報

もっと見る

page top