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がん医療における患者─医療者間のコミュニケーションとより良い医療の提供

No.4774 (2015年10月24日発行) P.54

須磨崎有希 (国立がん研究センター東病院 緩和医療科)

木下寛也 (国立がん研究センター東病院緩和医療科科長)

登録日: 2015-10-24

最終更新日: 2016-10-26

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患者─医療者間のコミュニケーションの問題は,患者の精神的苦痛,医療に対する満足度,治療アドヒアランスなどと関連する。がん治療では診断や再発,抗がん治療の中止などの悪い知らせを伝える際,医師の伝え方が患者の不安やその後の心理的適応に影響する。
悪い知らせを伝える際の効果的なコミュニケーションには,(1)支持的な環境設定,(2)悪い知らせの伝え方,(3)付加的な情報の提供,(4)安心感と情緒的サポートの提供,の4要素が重要である。これらの英字の頭文字をとってSHAREと命名された(文献1)。
SHAREの各スキルの獲得を目標としたコミュニケーション・スキル・トレーニング(communication skills training:CST)プログラム(SHARE-CST)が開発され,がん医療に携わる医師に対するコミュニケーション技術研修会が行われている。研修を受けた医師は,気持ちへの支援,話しやすい環境の設定,わかりやすい情報の伝え方,気持ちのつらさの軽減という点で,患者に良い結果をもたらした(文献2)。
患者と医師の間で良好なコミュニケーションが行われ,患者にとってより良い医療が提供されることが望まれる。

【文献】


1) Fujimori M, et al:Psychooncology. 2007;16(6):573-81.
2) Fujimori M, et al:J Clin Oncol. 2014;32(20):2166-72.

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