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ALPPSの適応

No.4765 (2015年08月22日発行) P.48

石崎陽一 (順天堂大学肝胆膵外科先任准教授)

川崎誠治 (順天堂大学肝胆膵外科教授)

登録日: 2015-08-22

最終更新日: 2016-10-26

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肝切除後の残肝容積が少なく,術後の肝不全が危惧される場合,予定残肝容積の増加を目的として術前門脈枝塞栓術(PVE)が広く行われている。一方,最近報告されたassociating liver partition and portal vein ligation for staged hepatectomy(ALPPS)は右3区域切除を予定した場合,1回目の手術で右門脈枝の結紮,肝離断を先行し,2回目の手術時に離断した右3区域を摘出する術式である。1回目の術後6~9日で予定残肝容積率が40~160%増加するとされ,PVEに比べ短期間でより大きな予定残肝容積が得られるとされる。
PVEでは予定残肝容積の増加が少なかったり,腫瘍の進展により予定していた肝切除まで至らなかったりする症例が20~30%あるとされているが,ALPPSではこの2点で2回目の手術が施行できないことはまずない。しかし,メタアナリシスでは,このALPPS後の肝切除において,Clavien-Dindo分類のgradeⅢa以上の術後合併症の頻度が44%(CI;38~50%),90日以内の死亡率が11%(CI;8~16%)とかなり高い。
初期の頃の成績に比べ,最近の報告では安全性が強調されているが,その適応は慎重に決めなければならない。部分肝移植後のsmall-for-size syndromeと同様に,急速に再生した肝臓の機能も不明な点が多い。2回目の手術までの期間が短いとはいえ,離断した肝臓周囲の癒着などにより手術の難易度が高くなる可能性もある。現時点では,適応は肝機能の良好な転移性肝癌に限定し,肝切除のhigh volume centerで施行されるべき術式である。

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