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熱中症診療ガイドライン2015

No.4763 (2015年08月08日発行) P.53

鶴田良介 (山口大学大学院医学系研究科 救急・総合診療医学分野教授)

登録日: 2015-08-08

最終更新日: 2016-10-26

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海外の教科書では,熱射病,熱疲労,そのほかにわけられているのに対し,国内では熱中症という言葉が,学校,職場,報道で統一して使用されている。熱射病(heat stroke)は深部体温が40℃を超え,せん妄,痙攣,昏睡などの中枢神経障害を特徴とする重篤な病態である。熱疲労(heat exhaustion)はその次に重症で,極度の口渇感,筋力低下,不快感,不安,眩暈,失神,頭痛などの症状を有し,深部体温が40℃未満の状態である。そのほかに熱失神,熱痙攣,日射病などが含まれる。
日本救急医学会では,すべて「熱中症」に統一し,症状と検査結果に応じてⅠ~Ⅲ度に分類する方式を採用してきた。Ⅰ度の症状には,眩暈,大量の発汗,失神,筋肉痛,筋肉の硬直があり,Ⅱ度には,頭痛,嘔吐,倦怠感,虚脱感,集中力や判断力の低下が含まれる。Ⅲ度は最重症で,中枢神経症状,肝・腎機能障害,血液凝固異常(DIC)の3症状のうちいずれか1つを満たすこととされる。この分類は一般市民の理解が得られやすく,現場でのスクリーニングに適している。日本救急医学会の2年ごとの全国調査にも用いられてきた。
今回の『熱中症診療ガイドライン2015』は,これまでに蓄積された全国調査結果と,国内外のエビデンスをレビューする形で,疫学,診断,治療,予後からなる11の設問に答える形式をとっており,熱中症に関する現在最もホットで便利なツールとなっている。

【参考】

▼ [http://www.jaam.jp/html/info/2015/pdf/info-20150413.pdf]

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