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がん疼痛に対する神経ブロック療法や放射線療法

No.4760 (2015年07月18日発行) P.58

波多野貴彦 (京都府立医科大学 疼痛・緩和医療学)

細川豊史 (京都府立医科大学 疼痛・緩和医療学教授)

登録日: 2015-07-18

最終更新日: 2016-10-26

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WHOがん疼痛治療指針に従って,オピオイド鎮痛薬を使用しての疼痛管理が普及し,近年の緩和ケア領域でのがん疼痛対策は飛躍的に進歩している。しかし,オピオイド鎮痛薬の増量のみでは対処が難しいがん疼痛も存在し,難治性のがん疼痛に対し鎮痛補助薬や神経ブロック注射,放射線療法(interventional radiology:IVR)などの各種方法を組み合わせた治療法が行われることが多い。その中でも,切除不能膵癌などによる上腹部痛に対しての腹腔神経叢ブロックは,WHOの治療指針でも推奨されている。適応症例に適切な時期に施行すると,きわめて有効な鎮痛が得られることがわかっており,消化器内科・外科への早期紹介の働きかけも重要である。
近年,放射線治療技術の進歩や放射線治療が著効となる癌種の増加などから,IVRの役割が増大している。疼痛緩和を目的とするIVRの対象は,転移性骨腫瘍に伴う痛みが最も多い。照射スケジュールは30Gy/10回が頻用されているが,最近の研究では,除痛効果と照射スケジュールに相関がないことが明らかになっている。
鎮痛効果は1~2週で出現し,4~8週後に最大効果となる。IVRは即効性に乏しいため,予後が限られる症例では1~数回の短期照射を行う。比較的予後が見込める症例では,分割照射および総線量が多い治療を考慮することで,痛みの緩和が大いに期待できる(文献1)。

【文献】


1) 日本緩和医療学会緩和医療ガイドライン委員会, 編:がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン2014年版. 第2版. 金原出版, 2014, p102-6.

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