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鎮痛補助薬の種類の増加

No.4757 (2015年06月27日発行) P.54

波多野貴彦 (京都府立医科大学 疼痛・緩和医療学)

細川豊史 (京都府立医科大学 疼痛・緩和医療学教授)

登録日: 2015-06-27

最終更新日: 2016-10-26

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がん性疼痛に対して,オピオイド不応性の痛み,神経障害性疼痛などの難治性の痛みに対しては,オピオイド鎮痛薬だけでは調節が困難であり,鎮痛の質を高めるためにも鎮痛補助薬が必要である。鎮痛補助薬の主たる薬理作用は鎮痛ではなく,「鎮痛薬との併用によって鎮痛効果を高め,特定の状況下で鎮痛効果を示す薬物」と定義されている(文献1)。
“がんそのものの痛み”は,神経障害性疼痛の要素がどれだけ強くとも侵害受容性疼痛が混在した状況であると考え,非がん性の神経障害性疼痛とは異なり,単独で鎮痛補助薬を使用することはほとんどなく,原則としてオピオイド鎮痛薬と併用する。近年,日本で使用可能になったプレガバリン(抗痙攣薬)やデュロキセチン(抗うつ薬)もその1つで,WHO方式において鎮痛補助薬は,第一段階から必要に応じて処方されることが示されている。
鎮痛補助薬の一般的な選択基準は,NNT(number needed to treat)が小さく,NNH(number need-ed to harm)が大きい薬物を選択することであり,この選択基準は効果的かつ安全な治療に必要である(文献2)。

【文献】


1) 日本緩和医療学会緩和医療ガイドライン委員会, 編:がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン2014年版. 金原出版, 2014, p78-9.
2) Finnerup NB, et al:Pain. 2005;118(3):289-305.

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