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舌下免疫療法

No.4747 (2015年04月18日発行) P.54

濱田聡子 (関西医科大学香里病院耳鼻咽喉科講師)

友田幸一 (関西医科大学附属枚方病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科教授)

登録日: 2015-04-18

最終更新日: 2016-10-26

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近年,アレルギー性鼻炎患者はわが国でも著しく増加している。特にスギ花粉症は罹患率が3割近い国民病となっているが,自然改善が少なく,小児期に発症すると多くは改善されないまま成人に移行するため,根本的な治療が望まれている。抗原特異的免疫療法はアレルギー性鼻炎の唯一の長期寛解が可能な治療法で,皮下免疫療法は100年以上の歴史を持ち,二重盲検比較試験でも臨床効果が確立され,わが国の『鼻アレルギー診療ガイドライン』で軽症例から重症例までに推奨されている治療法である。しかし,皮下注射法は数年にわたる頻回な通院が必要で,稀ではあるがアナフィラキシーショックを引き起こす危惧があり,十分な普及が妨げられてきた。
そこで,皮下注射法に代わる投与法が開発され,舌下免疫療法が1980年代頃より欧州で広く実施されるようになった。舌下免疫療法は,舌裏面に抗原を保持しその後嚥下する(吐き出す)方法で,口腔底粘膜を利用した投与法である。医師の指導下であるが自宅での投与が可能であり,また重篤な副作用がほとんど報告されておらず,患者の負担が軽減される治療として注目されている。
国内外の多くのメタ解析で,有効性,安全性が報告されており(文献1),2014年10月にわが国でもスギ花粉症舌下免疫療法が保険適用の治療となった。さらに,2015年1月にダニ抗原舌下錠を用いた舌下免疫療法も厚生労働省から承認され,今後様々なアレルギー性鼻炎の有用な根幹治療としての役割が期待される。

【文献】


1) Wilson DR, et al:Allergy. 2005;60(1):4-12.

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