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ITPとトロンボポエチン受容体作動薬

No.4710 (2014年08月02日発行) P.57

東原正明 (北里大学血液内科教授)

登録日: 2014-08-02

最終更新日: 2016-10-26

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免疫性血小板減少症(ITP)の病態として,抗血小板抗体産生と脾臓による血小板破壊亢進以外に,血小板産生障害も証明されている。最近の治療ガイド(文献1)によると,ピロリ菌感染検査・除菌を行った後,first line治療(ステロイド療法),second line治療(脾摘),third line治療の順で治療を進める。third line治療のうち,新規薬剤であるトロンボポエチン(TPO)受容体作動薬のみに保険適用がある。そのほかのthird line治療薬は効果が一過性であることが多い。
本疾患は,1973年,厚生省の難病医療費等助成対象疾病に指定されている。
TPO受容体作動薬には,遺伝子組み換え融合蛋白質であるロミプロスチム(ロミプレートR,2011年1月承認)(文献2)と,アゾナフタレン系の低分子化合物であるエルトロンボパグオラミン(レボレードR,2010年12月承認)(文献3)があり,いずれも難治例の80~90%程度に効果が期待できる。副作用として,動静脈血栓症,骨髄レチクリン線維の増加などがある。
血小板数5万以上を目安とし,必要最小限の投与にとどめる。ロミプレート(1~10μg/kg)は1回/週 皮下注射し,レボレード(12.5~50mg)は1回/日 経口内服(空腹時)する。前者は1μg/kgから,後者は12.5mgから開始し,反応を見ながら漸増する。いずれも併用しているステロイドの減量が急速であると,血小板減少をきたすことがある。

【文献】


1) 藤村欣吾, 他:臨血. 2012;53(4):433-42.
2) Shirasugi Y, et al:Int J Hematol. 2012;95(6): 652-9.
3) Saleh MN, et al:Blood. 2013;121(3):537-45.

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