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大動脈ステントグラフト内挿術およびハイブリッド治療

No.4706 (2014年07月05日発行) P.58

荻野 均 (東京医科大学心臓血管外科主任教授)

登録日: 2014-07-05

最終更新日: 2016-10-26

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大動脈ステントグラフト内挿術(胸部:TEVAR,腹部:EVAR)は1991年,Parodiらにより従来の直達手術(surgical conversion,人工血管置換術)に代わる低侵襲治療として臨床応用された。2000年に入り,多くの企業でデバイスが開発され,今や胸部下行大動脈瘤およびハイリスク症例の腹部大動脈瘤の治療では本法が第一選択となってきている。最近になり,大動脈解離に対する治療としても正式に認可され,さらに適応が拡大されてきている。
本治療法の特徴は,開胸・開腹,体外循環,低体温,臓器保護などの必要性がなく,出血や感染の合併症も少ない,その低侵襲性が最大の長所である。大動脈疾患患者の多くが高齢者であり,その点からも適切な治療と言える。従来から解剖学的事情,すなわちステントグラフト自体による大動脈分枝の閉塞が問題とされてきたが,近年,弓部分枝や腹部分枝を含む病変に対しても,バイパス手術を先行させたハイブリッド治療や,分枝付き・側孔付きの専用デバイスが開発され,この問題も少しずつ解決されてきている。一方で,依然としてエンドリーク(Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ,Ⅳ,Ⅴ)やデバイス自体のずれなど,長期耐久性の点で問題があり,CTによる定期的な外来フォローは必須である。
また,術後遠隔期に瘤が縮小する症例も多く認めるが,エンドリークを主な原因として,瘤の縮小が見られないものや拡大を認めるものがあり,血管内治療または直達手術など,適切な時期での追加処置が重要となる。今後,新たなデバイスが開発され,将来的には問題の多くが解決されていくものと期待される。

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