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動脈硬化性大動脈弁狭窄症

No.4703 (2014年06月14日発行) P.59

荻野 均 (東京医科大学心臓血管外科主任教授)

登録日: 2014-06-14

最終更新日: 2016-10-26

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生体弁を用いた大動脈弁置換術
弁膜症治療の主流は,大動脈弁狭窄に対する人工弁置換か,僧帽弁閉鎖不全に対する弁形成術である。社会の高齢化とともに前者の著しい増加を認める。人工弁の特性から生体弁の適応となり,特にわが国の患者は小柄なため,狭小弁輪を考慮した生体弁も導入されている。その一方で,狭小弁輪例を中心に自己心膜を用いた弁尖形成術も試みられている(文献1)。
経カテーテル的大動脈弁置換術(trans-catheter aortic valve implantation:TAVI)
大動脈弁置換術が困難な症例を中心に,低侵襲な経カテーテル的大動脈弁置換術(文献2)が試みられている。当初,高い死亡率と脳梗塞の合併を認めたが,最近の成績は安定してきている。経大腿動脈,経心尖,経上行大動脈などのアプローチがある。
現在,認可されているデバイスは1種類のみであるが,今後,新たなデバイスの導入を含め,治療件数の増加が見込まれる。ただ,高額治療であり適応の決定が重要である。また,この治療法にはハイブリッド手術室が必須であることから,全国的にその設置が進んでいる。さらに,この治療法には心臓血管外科単独ではなく,循環器内科,麻酔科,放射線科,臨床検査・工学技士,放射線技師,看護師などからなる「ハート・チーム」の重要性がうたわれている。

【文献】


1) Ozaki S, et al:J Thorac Cardiovasc Surg. 2014;◆147(1):301-6.
2) Cribier A, et al:Circulation. 2002;106(24):3006◆-8.

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