株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

臨床検査技師のサブスペシャリティー認定資格の種類は?

No.4788 (2016年01月30日発行) P.71

米坂知昭 (桐蔭横浜大学医用工学部生命医工学科教授)

登録日: 2016-01-30

最終更新日: 2016-10-18

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

【Q】

臨床検査技師のサブスペシャリティー認定資格には,超音波・生化学・血液学などがあると聞きますが実際はどうですか。 (埼玉県 K)

【A】

臨床検査技師の業務は,1958(昭和33)年に法的に制定され,その後,2度の改定を経て現在に至ります。主に検体検査,生理検査と細胞病理検査に大別され,診断や治療の判定などに用いられています。特に現代医療では,専門分化が進むにつれ高度で専門的な知識や技術が要求されるようになり,これを背景として各種の専門学会や団体が主体となり,一定以上の専門的知識や技術を公平に評価する認定資格が誕生しています。
現在,臨床検査技師が取得可能な認定は40~50種類程度あり,検査技師のみを対象とするものと,ほかの医療職を含むものがあります。今回ご質問の超音波検査では,日本超音波医学会が認定する超音波検査士があります。検査対象の循環器,消化器,産婦人科などの領域ごとに認定を取得しますが,画像検査ですから解剖組織,超音波特性や装置などの適切な知識が必要です。アーチファクトと病的異常を区別することは認定者であれば当然と言えます。この資格取得要件には,学会の在籍年数や検査経験として一定の症例数を提出することが義務づけられています。また,この認定は看護師や診療放射線技師も対象となります。
同様に消化器内視鏡技師も第1種と第2種があり,臨床検査技師は厚生労働大臣免許で第1種となります。業務は,消化管内視鏡検査に関わる前処置,洗浄・消毒や治療の介助など補助業務に携わります。細胞病理検査では,日本臨床細胞学会が認定する細胞検査士があり,検査技師のみが対象です。病理医の監督指導のもと,細胞診スクリーニングを行い,細胞の異形などを判定しクラス別に分類します。このスクリーニングで悪性細胞の見逃しや誤判定があると,重大な結果につながる可能性もあるため,この資格は大変重要となります。細胞病理検査室を持つ施設や外部の病理受託検査所でも,必ず細胞検査士が実施しています。
検査の分野別認定資格には,日本臨床検査同学院が主体の臨床検査士(1級,2級,緊急)があり,血液学,生化学,微生物学,電気生理学など各分野別に行われ,特に1級のレベルは高度で,取得者数は2級に比して非常に少ない状況です。専門学会の認定には輸血検査技師,臨床微生物検査技師,血液検査技師などがあります。ほかの認定では,糖尿病療養指導士や治験コーディネーター,MR専門技術者,臨床染色体遺伝子検査師などがあります。多くの医療施設では認定証を認定専門医制度と同様に施設内に掲示し,技術レベルの保証や患者さんの安心度向上に活用されています。

【参考】

▼ 大澤 進, 他:臨床検査学講座 検査管理総論. 第4版. 医歯薬出版, 2010, p173-6.

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top