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感染症に背後をとられない夏に [お茶の水だより]

No.4811 (2016年07月09日発行) P.13

登録日: 2016-07-09

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▼ブラジル・リオデジャネイロ五輪の開催まで1カ月を切った。懸念されるジカ熱の拡大について、世界保健機関(WHO)の緊急委員会は6月14日、現地の8月が冬に当たり、媒介蚊の活動が少ないことから、「五輪を契機とした国際的流行に至る可能性はきわめて低い」とのリスクアセスメントを発表した。しかし、英国や日本の男子ゴルフ選手が感染を避けるために五輪出場を辞退するなど、不安の完全な払拭には至っていない。
▼ジカ熱の陰に隠れがちだが、リオデジャネイロ州ではインフルエンザA(H1N1)も猛威を振るっている。ブラジルにおけるインフルエンザの流行は例年5月頃から始まるが、今年は3月から感染者数が伸び始め、ブラジル保健省は6月22日、1月からの死亡者数が1000人を超えたと発表した。
▼一方、国内に目を向ければ、マダニ媒介性の重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の感染が西日本を中心に今年も拡大している。国立感染症研究所によると、2013年以降の累積感染例は195例、うち死亡例は47例(6月29日現在)。SFTSは致死率が約25%と非常に高く、“日本のエボラ出血熱”と評する感染症専門家もいる。アライグマやイノシシなど野生動物での流行も確認されており、ウイルスを持つマダニが野生動物から飼育犬等を介して人家に侵入する危険性が指摘されている。
▼間もなく全国的に梅雨が明けると、病原体媒介生物の活動は最盛期を迎え、五輪観戦旅行をはじめとする国境を越えた人の往来も活発になる。感染症はどこから忍び寄って来るか分からない。空港・港湾の水際対策強化だけでなく、臨床現場でも国内外の感染症の動向を念頭に置き、医療界全体で感染症に背後をとられない夏にしたい。

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