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2050年にまつわる推計 [お茶の水だより]

No.4798 (2016年04月09日発行) P.13

登録日: 2016-04-09

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▼21世紀の中間点で、かつ予測世界人口が約100億人に達するので分かりやすいからか、2050年にまつわる医療・公衆衛生の推計は数多い。米国の2015年版国勢調査報告書によると、2050年の世界の平均寿命は76.2歳と、2015年の68.5歳から7.7歳延伸。65歳以上人口は約16億人と、2015年比で2.5倍に達する。
▼2050年における世界の人々の健康に関してはどうか。認知症患者は前号で紹介したように1億3200万人に達する見込みだ。豪州のブライアン・ホールデン視覚研究所は、2050年には世界人口の半数近い47億6000万人が近視になるとしている。世界保健機関(WHO)の推計では、このほか、薬剤耐性菌による死亡者が2050年に1000万人に達するとの推計もある。
▼各推計の仮定は当然異なるため、並べて語るのはナンセンスかもしれない。ただ、これらの推計が示す2050年が「明るい」とは言いがたい。
▼先日、グローバルヘルスをテーマにしたシンポジウムを取材した。そこで演者として登壇したWHO事務官の「薬剤耐性菌問題は昨日の我々の行動の結果。だから明日の治療を変えられるのも今の我々の行動しかない」との言葉は印象深かった。世界人口の高齢化のような「現象」はもはや避けがたい。一方、認知症、近視など、薬剤耐性菌同様に「今の我々の行動」で対策が可能な問題もたくさんある。
▼本誌では前号より、医療にまつわる数字を紹介する新コーナー「Pick up医療データ」を始めた。「明日の治療」を変えようと奮闘する医療従事者、研究者、行政関係者の姿が偲ばれるような数字にもスポットを当てられればと考えている。


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