厚生労働省は1日、認知症治療薬の規定用量未満の処方を事実上容認する事務連絡を全国の審査支払機関に発出した。事務連絡では、認知症治療薬について「当該規定の用量未満で投与される場合」があるとした上で、「一律に査定を行うのではなく、診療報酬明細書の摘要欄に記載されている投与の理由等も参考に、個々の症例に応じて医学的に判断」するよう周知している。
認知症治療薬の事実上の増量規定を巡っては、「抗認知症薬の適量処方を実現する会」が規定の撤廃と医師の裁量による適量処方の実現を目指し、厚労省に働きかけを行っていた。同会理事の河野和彦氏(名古屋フォレストクリニック)は本誌の取材に対し、「実現する会の努力で予想以上に早く成果が出たと思う。しかし、高額なレセプトカットを受けてきた身としては、審査員1人1人に周知が徹底されない限り安心する気にはなれない」とコメントした。
一方、厚労省保険局医療課も本誌取材に応じ、代表的な認知症治療薬「アリセプト」の添付文書に「症状により適宜減量する」との記述があることから、「従来の方針を変更したわけではない。一律にカットするのではなく、あくまで医学的に是非を判断してほしいと改めて周知した」との見解を示した。