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睡眠関連障害と全身性疾患でシンポ [日本内科学会講演会]

No.4800 (2016年04月23日発行) P.10

登録日: 2016-04-23

最終更新日: 2016-12-01

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第113回日本内科学会総会・講演会(大会長=門脇孝東大教授)が都内で開催され、15日にはシンポジウム「睡眠関連障害と全身性疾患をめぐって」が開かれた。座長も務めた木村弘氏(写真、奈良県立医大)が最初に登壇し、閉塞型睡眠時無呼吸による間歇的低酸素(IH)が血管平滑筋細胞を増殖させる機序を解説。その上で、IHが生活習慣病の進展因子になる可能性のほか、近年ではIHが癌の進展にも関与することが示唆されていることを紹介した。
葛西隆敏氏(順天堂大)は、心不全患者は健常人に比べて総睡眠時間が約75~90分短いとの研究結果を示し、「症状、内服薬や心不全そのものによる交感神経活性亢進が原因」と分析。睡眠障害と循環器疾患が双方向性の関係にある可能性を指摘し、「睡眠の量の低下や睡眠障害に対する介入で循環器疾患の改善が期待される。内科全体で考えるべき課題」と指摘した。
三島和夫氏(国立精神・神経医療研究センター)は、生物時計機能の個体差と画一的な社会時刻のミスマッチを「社会的ジェットラグ」と呼び、その健康リスクを問題提起。就業日の短時間睡眠による睡眠負債を週末の寝だめで解消する、睡眠障害の自覚が乏しい「潜在的睡眠不足」群が中長期的リスクを抱えている可能性に言及し、今後研究を進める必要性を指摘した。さらに、オックスフォード大が現在、全英100校以上で「10時始業の効果」を検証中で、パイロット研究では成績上位者の割合が増加したとして、「個人の体内時計の特性の多様性を尊重する社会実験として期待されている」と紹介した。


木村 弘氏

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