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認知症の国家戦略を年内策定へ - 安倍首相が認知症国際会議で方針表明 [認知症サミット日本後継イベント開催] 

No.4725 (2014年11月15日発行) P.10

登録日: 2014-11-15

最終更新日: 2016-11-17

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【概要】政府は認知症国家戦略を年内に策定する。世界的に増加する認知症について主要7カ国(G7)の研究者や政策担当者などが議論する国際会議で、安倍晋三首相が表明した。

日本の認知症患者は、前段階のMCI(Mild Cog-nitive Impairment)を加えると約380万人と推計されている。65歳以上の4人に1人が認知症または予備群となり、今後も増加が予想されるため、政府は認知症対策を国家戦略と位置づけた。
6日に都内で開かれた認知症国際会議で安倍首相は、「わが国の認知症施策を加速するため新たな戦略を策定するよう厚生労働大臣に指示する」と述べ、2013年度から実施している政府の認知症施策推進5か年計画に代わる対策を年内に策定する方針を表明。さらに、「病態解明を進め、予防や治療の研究開発につなげるため、住民を対象とする追跡研究を全国に展開する」と言明。政府は1万人規模の研究を来年度から実施する予定だ。
現在の5か年計画は、医療・介護の基盤整備が中心だが、新戦略について塩崎恭久厚労相は国際会議の閉会式で言及し、「省庁横断で患者が生活しやすい環境整備に取り組む」「患者や家族の視点に立ち施策を推進する」「5か年計画の数値目標を引き上げる」の3つの柱を示した。

●英研究者「認知症は予防できる疾患」
今月5~6日に開催された認知症国際会議は、昨年12月の「G8認知症サミット」(ロンドン)の後継イベントとして日本政府が主催。G7の医療関係者を中心に約300人が参加した。
登壇者のうち、オランダ保健省のJacqueline Hoo-gendam氏は、認知症専門医や一般医、家族が地域でネットワークを構築する対策に取り組み、コスト削減と患者満足度向上を達成したことや、この成果に基づき、ケアの費用を年間包括払いにすることも可能になる法律が来年施行されることを紹介。
英国保健省のJon Rouse氏は、患者の急増が予想される低・中所得国を含めて、世界で使える対策を考える必要性を指摘。そのためには薬剤開発や研究費の財源引上げが必要だとした。さらに、認知症に関するデータや経験を国際的に共有することや、他疾患の研究や政策に学ぶ姿勢が大事だとした。
ロンドン大キングス・カレッジのMartin Prince氏は、認知症は、高血圧や糖尿病、喫煙をコントロールすることで「予防できる疾患だ」と強調。社会にこうしたメッセージを届けることで、人々の行動変容を促すことが重要だと指摘した。
東京都の認知症患者、奥公一氏は、認知症発症によって万引きを繰り返し、認知症の診断を受けてからは、家から出られず、「生きる屍のようだった」と吐露。しかし、社会参加を促すデイサービスと出会ったことで生きる気力を取り戻した経験を披露し、患者が希望と尊厳をもって生きられる社会を患者も参加して構築するよう訴えた。

【記者の眼】国際アルツハイマー病協会の推計では、世界の認知症患者は2013年時点で4400万人だが、50年には1億3500万人にまで増加する。定期的な国際交流によって知恵と科学を結集することで、疾患克服のみならず患者・家族が暮らしやすい町づくりが進むことを望みたい。(N)

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