中央社会保険医療協議会は12月8日、「生活習慣病管理料」について議論した。これまでの審議でも取り上げられてきた患者の求めに応じた文書交付の要件化に加え、診療ガイドライン(GL)に沿った診療の要件化や、月1回以上の診療を求める要件の緩和などが新たな論点として提示されたが、診療側はいずれの案にも反対した。
「生活習慣病管理料」は、療養計画書を作成して患者に説明し、署名をもらわなければならない手続きの煩雑さなどが原因で算定が広がらないことが課題となっている。このため厚生労働省は、療養計画書の記載事項のうち血液検査項目等の情報は、2025年度から電子カルテ情報共有サービスでの閲覧が可能になり、患者自身もマイナポータルを介して閲覧できるようになることを説明。
さらに対象疾患の高血圧症、糖尿病、脂質異常症の患者について、①受診頻度は月1回が最多だが、3カ月に1〜2回の患者も2〜3%程度いる、②他の疾患に比べて31日以上の処方やリフィル処方箋が発行された割合が高い―などの傾向があることを示した。
その上で、「生活習慣病管理料」について、(1)療養計画書を一定程度簡素化する、(2)少なくとも1カ月に1回以上の診療を求めている要件を緩和する、(3)リフィル処方箋の発行を評価する―などの見直しを提案。患者への文書交付が努力義務化される改正医療法(25年4月施行)への対応として、患者の求めに応じた文書交付を要件化することや、診療GLに沿った診療の要件化なども検討課題に挙げた。
このうち、療養計画書の簡素化では意見の一致をみたが、それ以外の項目では意見が分かれ、支払側は月1回以上の診療要件の廃止やリフィル処方箋発行の要件化などを要望。診療側は月1回以上の診療要件の維持を求めるとともに、診療GLに沿った診療や文書交付の要件化に異議を唱えた。
また、支払側は「特定疾患療養管理料」の対象疾患から高血圧症、糖尿病、脂質異常症を除外することを改めて要望したが、診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は、「特定疾患療養管理料」と「生活習慣病管理料」は評価の趣旨が異なり、「疾患が同じだからまとめていいということにはならない」と憤りをみせた。