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【識者の眼】「診療報酬改定と医療DX」土屋淳郎

No.5200 (2023年12月23日発行) P.58

土屋淳郎 (医療法人社団創成会土屋医院院長、全国医療介護連携ネットワーク研究会会長)

登録日: 2023-12-11

最終更新日: 2023-12-11

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2024年度に医療・介護・障害福祉サービスのトリプル改定があり、その重要なポイントとしてオンライン診療や医療介護連携などの「医療DX推進」があると言われている。オンライン資格確認を皮切りに構築が進む全国医療情報プラットフォームを基盤とした、電子処方箋や電子カルテなども視野に入れた改定になるだろうと期待をしていた。

しかし先日、「診療所の報酬単価を引き下げ、診療報酬本体をマイナス改定とすることが適当」とする財務省の主張が報道され、驚きや怒りよりも悲しみがこみ上げる状況である。実態は本誌の「診療報酬改定を巡る財務省との攻防激化」(No.5195)にも書かれている通り、「マイナス改定の根拠を見いだせず、明らかに無理筋の主張を展開している財務省の焦り」なのだとも感じるが、コロナ禍で頑張ってきたことが否定されているような残念な気持ちや、「医療の質を改善しつつ医療費を抑制することは困難」と言われている中でのマイナス改定ありきの姿勢には、医療の質も落としてしまうことになるのではないだろうかと不安な気持ちもある。

以前にも書いたように、ただでさえICTシステムの利用(機器の導入やセキュリティ対応を含む)については投資者と受益者の負担の乖離があることで医療機関の負担が大きくなっているのに、診療報酬という公定価格の中で、物価高騰や賃上げにも対応しなくてはいけないのなら、医療の質を向上させるために医療DXの推進をうたってもそれが進むことは難しいのではないだろか。

医療の質を犠牲にしてまでも税収が必要なら、いっそ国民の健康増進を目的とした税収を検討することはできないのだろうか。たばこ税等の税収は「概ね2兆円程度で推移」とされる一方で、「たばこの害による総損失は2兆円超」と言われているので、これを見直すことはできそうだし、摂りすぎると体に良くないアルコールや塩なども検討の余地があるのではないだろうか。とはいえ私にはわからないことも多く、単なる思いつきにすぎないのだが、逆に言えば財務省にもわからない医療の状況があるのではないだろうか。

無駄な医療費を省き医療の質を高めるために、そして国民が健康で安心して過ごせる社会をつくり上げていくために医療DXの推進をめざしていると信じたい。それに対して逆風を吹かせることがないように願いたい。

土屋淳郎(医療法人社団創成会土屋医院院長、全国医療介護連携ネットワーク研究会会長)[財務省][医療の質]

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