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慢性血栓閉塞性肺高血圧症  【肺動脈バルーン拡張術の有用性が示されつつある】

No.4825 (2016年10月15日発行) P.51

田中裕史 (神戸大学心臓血管外科・低侵襲外科特命教授)

登録日: 2016-10-14

最終更新日: 2016-10-18

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慢性血栓閉塞性肺高血圧症は,外科的な肺動脈内膜摘除術が唯一の治療法であった。しかし,この治療法をもってしても,区域動脈の末梢側以降に内膜肥厚や線維化組織が存在する,いわゆる末梢型では,遠隔期を含めて成績は不良である1)。また,合併症を持つ症例では,外科手術自体の侵襲もあり,適応に逡巡する。

2001年に18例の肺動脈バルーン拡張術の有用性が報告されたが,その後普及するには至らず,近年わが国からの同様の報告2)で,ようやく全世界的に普及しつつある。合併症により手術がハイリスクな症例,末梢型病変例などに用いられるが,手技による合併症もあり,本疾患に対する治療は外科手術,バルーン拡張術とも経験に富む施設で施行されることが望ましい。

【文献】

1)Nakanishi N, et al:Chronic thromboembolic pulmonary hypertension. Guidelines for treatment of pulmonary hypertension(JCS 2012). 2012, p50-6.

2)Mizoguchi H, et al:Circ Cardiovasc Interv. 2012;5(6):748-55.

【解説】

田中裕史 神戸大学心臓血管外科・低侵襲外科特命教授

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