株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

舌診の漢方臨床における位置づけと要点は?

No.5149 (2022年12月31日発行) P.54

三潴忠道 (福島県立医科大学会津医療センター 漢方医学講座教授)

三谷和男 (三谷ファミリークリニック院長/ 奈良県立医科大学大和漢方医学薬学センター 特任教授)

登録日: 2022-12-31

最終更新日: 2022-12-27

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 脈診,舌診,腹診は漢方医学独特の診察方法です。その中でも腹診は日本においてはかなり重視されていると思われますが,舌診は必ずしも活用されていないように感じます。漢方医学的診断における舌診の重要性や有用性,診察上のポイント,見逃してはいけない点など,実臨床における活用について教えて下さい。
    三谷ファミリークリニック/奈良県立医科大学・三谷和男先生にご説明をお願いします。

    【質問者】

    三潴忠道 福島県立医科大学会津医療センター 漢方医学講座教授


    【回答】

    【舌診は現状把握の有効な手段。「色と形」→「望診」への展開がポイント】

    舌診の修得は,とにかく一人一人の病人さんの舌を「みる」ことです。理屈は要りません。毎日みることです。病人さんの舌を色と形(場合によっては動きも含めて)の分析でとらえようとしても,そこに確たる法則性はありません。多変量解析をもってしても,です。

    では,なぜそんな法則性の定まっていない舌診が漢方医学独特の観察方法として重要なのでしょうか。漢方診療では,まず舌をみます。そして,経過を追う中で病人さんが示してくれる「みえども,みえず」を実感していくことになります。病人さんが舌を出している時間はどのくらいでしょう。まあ,長くて10秒くらい,いやもっと短いかもしれません。そこでつかめる所見は,視診(分析してものをみる)のそれではありません。舌診は望診(つま先立ちして遠くの場所全体の雰囲気をつかむ)の一環です。舌はみていますが,舌しかみていないわけではありません。舌を出している病人さんをみているのです。舌を出してもらった瞬間に変わる診察室の雰囲気,雰囲気の変化を私たちが受けとめた時の驚き,病人さんへのさらなる関心,これが大事です。

    残り606文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    関連求人情報

    関連物件情報

    もっと見る

    page top