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■NEWS 膀胱留置カテーテルの接続口の選択間違いで注意喚起―医療安全情報

No.5138 (2022年10月15日発行) P.70

登録日: 2022-09-16

最終更新日: 2022-09-16

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日本医療機能評価機構は915日、「医療安全情報No.190」を公表した。今回は、膀胱留置カテーテルの接続口の選択を誤って固定用バルーンに多量の生理食塩液を注入し、バルーンが破裂した事例を取り上げ、注意を喚起した。

機構によると、こうした事例は201911日から22731日までの間に4件報告されている。4例は膀胱洗浄や腹部エコー検査前の膀胱の充満など、いずれも膀胱に生理食塩液を注入する処置で起きた。こうした処置は、膀胱留置カテーテルの2股になった接続口のうち、排尿口にカテーテルチップ型シリンジを接続して行うのが正しい手順。これに対して報告事例では、排尿口には接続できない通常のシリンジを準備し、接続口のサイズがマッチするバルーン注入口に誤ってつないだことが事故を招く原因となった。

ある事例では膀胱洗浄経験のない看護師が、1人で膀胱洗浄を実施。通常の注射液を使って生理食塩液を50mL注入したところ、パンという破裂音がすると同時に患者が痛みを訴えた。その際に訪室した別の看護師がバルーン注入口から生理食塩液を注入したことに気づき、報告を受けた医師がカテーテルを抜去するとバルーンが破損していた。別の事例では、腹部エコー検査の前の膀胱を充満させる処置で、担当医が通常の注射器を使ってバルーン注入口から生理食塩液80mLを注入。その後、看護師が膀胱留置カテーテルが抜けていることに気づいて確認すると、バルーンは膨らんでおらず、一部が欠損していた。

どちらの事例でも、膀胱内に残されたバルーンの破片を膀胱鏡で回収する処置が必要になった。

■膀胱留置カテーテルの構造や措置の意味を理解する取り組みの実施を

このため、事例が発生した医療機関では再発防止策として、▶膀胱留置カテーテルの構造や実施する処置の意味を理解する、▶初めて経験する処置や手技を十分理解していない処置は、必要物品や手順を確認し、指導者の教育のもと実施する―取り組みが行われている。

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