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【識者の眼】「クリニック向け電話自動応答システムの利用」土屋淳郎

No.5108 (2022年03月19日発行) P.59

土屋淳郎 (医療法人社団創成会土屋医院院長、全国医療介護連携ネットワーク研究会会長)

登録日: 2022-03-04

最終更新日: 2022-03-04

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コロナ関連の対応に電話が使われることが非常に多い。当院では発熱外来の予約を電話で行っており、PCR検査が陽性であれば本人に電話で報告し、無料検査センターや介護施設等で実施された検査が陽性だった場合への対応を電話で行い、自宅療養者の健康観察でも連日電話をしている。さらに3回目のワクチン接種も前倒しになったことにより問い合わせや予約の電話も多くあり、朝から4回線ある電話が鳴りっぱなしでパンク状態となり、診療開始後1時間ぐらいは通常診療が行えないこともあった。

そこで、当院ではクリニック向け電話自動応答システムの利用を開始することにした。問い合わせ内容に応じてその番号をプッシュするもので、たとえば、発熱外来の受診を希望する方には受診方法を説明し、受診希望があればWEB問診システムのURLを通知する。WEB問診システムでは、今まで行っていた発熱外来用の問診に追加して、他施設で行った検査の画像(結果通知メールのスクリーンショットや陽性となった抗原検査キットの写真など)を添付できるようにした。

また、ワクチン接種希望者には当院における予約方法を説明し、インターネット予約を希望する場合には予約システムへのアクセス用URLを通知するようにした。予約システムは安価で汎用性の高いシステムを利用し、当院のワクチン接種予約に合わせた設定を行って利用した。

このように一部の対応を自動化することで、当院での電話対応は、1月は約47%、2月は約35%減少した。今でも電話は多いが、回線がパンクすることはなく通常診療に影響を及ぼすことはなくなった。受診方法や予約方法の説明や、URLの通知はクリニックのホームページからでも可能ではあるが、当院は高齢者が多くホームページを見るより電話で問い合わせをする人が多い。このような高齢者でもそれほど問題なく利用できていたことに安心し、さらにインターネット予約を自分で行える高齢者も思ったよりも多かったことに驚かされた。

普段から連絡が多い薬局や事業所等は直接当院につながるようにボイスワープ機能を設定することで普段通りの対応も可能である。普段から最も使われる電話の機能の一部を自動化し、それを入り口にWEB問診システムや予約システムにつなげることができる電話自動応答システムは、コロナ関連の対応に忙殺されるクリニックにとって非常に有用なのではないだろうか。

土屋淳郎(医療法人社団創成会土屋医院院長、全国医療介護連携ネットワーク研究会会長)[新型コロナウイルス感染症][電話自動応答システム]

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