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【識者の眼】「チーム医療とコミュニケーション」野村幸世

No.5106 (2022年03月05日発行) P.58

野村幸世 (東京大学大学院医学系研究科消化管外科学分野准教授)

登録日: 2022-02-25

最終更新日: 2022-02-25

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北京オリンピックが閉幕した。決勝戦は少し残念な結果であったが、日本女子カーリングが銀メダルに輝いたことは快挙であり、誰もが応援したことであろう。スポーツでは、チームスポーツであっても、試合中にいろいろ語れるものは少ない。タイムをとって作戦会議を行うスポーツはあっても、試合の最中にはあまりコミュニケーションは取れない。しかし、カーリングは、ゲームの最中に、4人のメンバーがかなり語り合って行っていることがわかった。これぞ、日本女子の得意とするところと感じた。

医療の現場でも、働き方改革が義務付けられ、これからはチーム医療が必要な時代となる。今までの、「24時間働けますか?」や「24時間365日、患者の急変に対応できない医師はメスを持つべきではない」というような考え方では、現場はやっていけなくなる。

2021年度の私大の医学部入試がほぼ終わり、合格率としては女子が男子を上回った。受験生の男女比が男子:女子=4:3くらいなので、合格者数の数としてはまだ、少し男子が上だろうか。いずれにしてもかなり、同数に近くなった。今後、女子の医学部合格者はもっと増えることが予想される。将来的には、これら優秀な女子たちに、医療を支えていただかないと、日本の医療の発展は難しいであろう。

働き方改革と相まって、まさに、あらゆる診療科において、チーム医療を発展させる必要がある。カーリングに見るごとく、チーム医療に必要なことは、十分なコミュニケーションである。日本人女子はこのコミュニケーションをとれる人が多い。これは、日本の医療業界にとって実にありがたいことである。チーム医療を行うにあたっては、そのリーダーである部長や教授のリーダーシップがより問われることになり、また、責任もより重くなるものと自覚されたい。誰でも意見を率直に言え、話し合いができるチームをつくっていく必要がある。このために女性は大いに力になると思われる。

野村幸世(東京大学大学院医学系研究科消化管外科学分野准教授)[チーム医療][働き方改革]

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