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マントル細胞リンパ腫[私の治療]

No.5105 (2022年02月26日発行) P.46

永井宏和 (国立病院機構名古屋医療センター臨床研究センターセンター長)

登録日: 2022-02-28

最終更新日: 2022-02-21

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  • マントル細胞リンパ腫は,月単位で進行するB細胞リンパ腫であり,全リンパ腫の3~5%と比較的稀である。5年生存率は3割程度と不良であるが,一部緩徐に進行する症例も存在する。病理検査でサイクリンD1が陽性である。Ann-Arbor病期分類ではⅢ,Ⅳの進行期の症例が7割を超え,約5割の症例が骨髄病変を認めるなど,節外病変を伴うことが多い。

    ▶診断のポイント

    【症状】

    表在のリンパ節腫脹で医療機関を受診することが多い。約3割に消化管病変,脾腫大を伴うことから,腹部症状が初発症状であることも少なくない。発熱,盗汗,体重減少などの全身症状を伴うこともあるが,その頻度は高くない。

    【検査所見】

    病変の病理検査で確定診断が行われる。免疫染色では,B細胞マーカーに加え,サイクリンD1,CD5,SOX11など特徴的な抗原が陽性となる。染色体検査(FISH)では,染色体11番と14番の転座が認められる。PET/CT検査・造影CT検査などの画像検査,骨髄検査で全身の病変の広がりを検討する。消化管検査も行う。採血,心臓超音波検査など臓器機能の評価が重要である。
    予後予測モデルとして,年齢,ECOG-PS,LDH値,白血球数を用いたMIPIスコアが用いられる。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    【初発症例】
    〈限局期(臨床病期Ⅰ,Ⅱ)〉

    単一照射野にて治療可能な場合は領域照射が適応となる。リツキサン〔リツキシマブ(遺伝子組換え)〕を含む化学療法を行う場合は,進行期と同様に治療する。

    〈進行期(臨床病期Ⅲ,Ⅳ)〉

    治療法は年齢により層別化される。65歳以下で臓器機能が保たれている場合は,大量化学療法の適応となる。リツキサンを含んだ寛解導入療法に効果が認められた場合は,自家末梢血幹細胞移植併用大量化学療法を行う。66歳以上または臓器機能障害などで大量化学療法の施行が困難と考えられる症例に対しては,リツキサンを併用した化学療法を施行する。

    【再発症例】

    多剤併用の救援化学療法を行う。フルダラ(フルダラビン)も使用可能である。分子標的治療薬(BTK阻害薬)であるイムブルビカ(イブルチニブ)は,単剤経口治療が可能であり,再発・難治症例に用いることができる。大量化学療法からの再発例などは,同種造血幹細胞移植も治療選択となる。

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