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【識者の眼】「オミクロン株の特徴を踏まえての今後の出口戦略を考えるにあたり」和田耕治

No.5105 (2022年02月26日発行) P.59

和田耕治 (国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授)

登録日: 2022-02-16

最終更新日: 2022-06-01

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オミクロン株の特徴が次第に明らかになってきた。デルタ株に感染した場合は40〜50代でも亡くなられている方が一定数おられたが、オミクロン株では60歳未満で基礎疾患がなく、ワクチン接種もしていると死亡リスクはかなり低くなった。

しかし、特に後期高齢者や、若い年代でも透析患者や妊婦は重症化のリスクが高い。つまり、感染した年齢や健康状態によって起こりえるインパクトという点においては、社会の中で弱者を困難にする特性が際立っている。医療や介護現場では、新型コロナの症状での受診ではなく、他の理由で受診した際に偶発的に新型コロナがみつかることが今後も続く。そうした際は、医療者は防護服を着て手術や出産を行うようなことが当面求められる。

高齢者の感染は、主には同居家族、友人、そして施設におられる場合には入所者やそこで働く方からである。どこで感染したのかについてはわかることも多い。感染をきっかけに持病が悪化したり、ADLが低下したり、合併症などにより重症化や死亡につながる。インフルエンザでもある程度の高齢者は亡くなっていたというのは事実である一方、本人やその家族は新型コロナに感染したことで起きたことに納得できるのか。

今、急がれるのは3回目のワクチン接種をできるだけ早く高齢者や持病のある若い年代も含めて接種することである。春は昨年の例にもあるように感染拡大をしやすい時期にある。桜が咲く前にはできるだけ進めたい。

欧米の状況をみていると、かなりの感染者や死亡者が出ているが、感染対策の緩和をしているところもある。しかし、そうした国でも3回目接種はかなり進んでいるようだ。

日本でも桜が咲く頃にはオミクロン株とどう向き合うのか、出口戦略について今まで以上に大きな課題となるであろう。今からでもハイリスクといわれる場面、たとえば飲食やイベントなどをどうするかについて、具体的な検討や取組が必要である。ワクチン検査パッケージ制度の運用もオミクロン株の特性を考えて見直しが必要である。

社会全体での感染対策をどこまで求めるのかについて合意することは、オミクロン株の特性からこれまで以上に難しくなるであろう。やるべきことはたくさんあるのだが、あまり時間はない。

和田耕治(国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授)[新型コロナウイルス感染症]

【関連動画】
討論Pro×Pro「新型コロナ対策 出口戦略のシナリオ」(和田耕治×今枝宗一郎)

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