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特集:ココに注意!漢方薬の副作用と使い方

No.5092 (2021年11月27日発行) P.18

吉野鉄大 (慶應義塾大学医学部漢方医学センター)

登録日: 2021-11-26

最終更新日: 2021-11-24

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慶應義塾大学医学部卒業,同大学病院での初期研修ののち,2010年に同大学医学部漢方医学センターに入局。博士(医学),日本東洋医学会漢方専門医・指導医,日本内科学会認定内科医・総合内科専門医,日本漢方生薬ソムリエ(初級)。

1 ジオウ(地黄)やトウキ(当帰)などによる消化器症状
(1)腹痛,下痢,胃もたれなどが,10%程度にみられる。
(2)ジオウに含まれる難消化性多糖が原因と言われ,若年に多く,食後内服で改善しうる。

2 カンゾウ(甘草)による偽アルドステロン症
(1)下腿浮腫,血圧上昇,低カリウム(K)血症などが,カンゾウ1g当たり1%にみられるとも言われている。
(2)病態はグリチルリチン代謝産物による11β-HSD2阻害。
(3)リスク因子はカンゾウ高用量,高齢者,便秘,低アルブミン血症,高直接ビリルビン血症,利尿薬。

3 オウゴン(黄芩)などによる間質性肺炎,肝障害
(1)間質性肺炎は稀で,咳,微熱などがみられる。肝障害は無症状も多い。時に皮疹を伴う。
(2)病態はⅢ,Ⅳ型のアレルギーとされ,リスク因子は不明なので早期発見に努める。

4 ダイオウ(大黄)による大腸メラノーシス
(1)ダイオウ過量で腹痛,下痢となる。メラノーシス自体は時にみられるが,ダイオウ耐性は稀。
(2)病態は,ダイオウ連用による炎症に伴う神経線維の脱落とされる。

5 サンシシ(山梔子)による腸間膜静脈硬化
(1)腹痛,血便などがみられるとされているが,発症はごく稀。
(2)病態はゲニポシド代謝産物の蓄積とされ,リスク因子は5年以上(累積5kg以上)の長期投与。

6 ブシ(附子)中毒,マオウ(麻黄)過量
(1)動悸,しびれなどがみられるが,常用量では稀。
(2)病態はアルカロイド類の血中濃度上昇で,リスク因子は食後内服。マオウ過量は高齢者で起こりやすいとされる。

7 セイタイ(青黛)による肺高血圧症
(1)肺高血圧の症状として呼吸困難などがみられるが,発症はごく稀。
(2)病態は芳香族炭化水素受容体シグナルの過剰活性化で,リスク因子は数カ月以上の長期投与。

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