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【識者の眼】「ワクチン接種の推進に向けて現状を踏まえた戦略の提案」和田耕治

No.5075 (2021年07月31日発行) P.61

和田耕治 (国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授)

登録日: 2021-07-19

最終更新日: 2021-07-19

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ワクチン接種をさらにできるだけ多くの方にしていただくためには、戦略が必要である。デマ対策は引き続き行うべきであるが、デマ対策だけでは接種は進まないだろう。筆者らは7月13〜15日に首都圏で20〜69歳を対象にワクチン接種に関する意識調査を行った。その結果の一部を紹介しながら、今後の戦略を提案したい。

1. 「1度以上接種した、または、できるだけ早く接種したい」は、男性の40〜59歳では60%程度、60代は84%であった。同様に、女性の40代は50%、50代は63%、60代は74%であった。

2. 接種の順番は、高齢者の後は、60代、50代、40代と順に進めていくことが重症化予防の観点から必要と考えている。40〜60代の男女のうち、「もう少し様子を見たい」は、女性の60代で25%、50代で35%であった。また、男性でも50代は33%、40代は39%であった。こうした回答をした人のうち、約70%が「副反応が心配だから」という理由だった。一方で、「もう少し様子を見たい」人の半数は「予防接種の効果を信頼している」と回答していた。こうした人は集団接種には来ないと考えられ、個別に診療の場面で接種を促すことが必要そうである。例えば、あらゆる診療科で医師や看護師が患者さんにワクチンを接種したかどうか声をかけて、まだの方には地域で接種できるところに誘導するような「総力戦」ができないだろうか。

3. インフルエンザの予防接種を2020年度にした人は、新型コロナのワクチンも接種する傾向がある。しかし、それでもその集団の25%程度は「もう少し様子をたい」と回答していた。インフルエンザの時期にも新型コロナの接種の呼びかけが必要であろう。

4. 知り合いが接種をしていると、「接種に行く」という傾向が64%にまで上がっていた(知り合いがいない群では36%)。接種をした人が、接種に関する体験を語っていただくこと、またできればポジティブな声かけを周囲にしていただくことがいいだろう。もちろん、その際には、接種したくないという意見があった場合には対立しないようにしていただく必要がある。なお、「知り合いに新型コロナに感染した人がいる」という人は、接種という行動に誘っていないようであった。

5. 「もう少し様子をたい」と回答した方に、最も信頼している情報源を聞いたところ、女性の30代から50代で「家族」と回答した割合が高かった。また女性の40代は「テレビ」を信頼している割合が特に高かった。

「接種を希望しない」という否定的な考えがある方をどうするかも課題であるが、まずは「もう少し様子をたい」という人から誘導してみてはどうだろうか。

和田耕治(国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授)[新型コロナウイルス感染症]

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