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【識者の眼】「地域の未来と日本海ヘルスケアネットの役割④─多職種情報共有」栗谷義樹

No.5077 (2021年08月14日発行) P.68

栗谷義樹 (山形県酒田市病院機構理事長)

登録日: 2021-07-13

最終更新日: 2021-07-13

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医療情報共有システム「ちょうかいネット」は日本海ヘルスケアネット(HCN)の事業運営に不可欠な地域ICTである。ID-Linkを利用した地域医療情報ネットワークサービスであり、2011年から運用が開始された。

本システムの特徴は医療情報開示施設に診療録の全開示を義務付けていること、参加施設が医療機関のみならず、歯科、調剤薬局、介護施設等、多職種で情報共有が行われていることである。システム運用開始から安定した登録数が得られ、延べ登録患者数は2021年6月現在5万773名、2次医療圏人口の17.9%になっている。

現在、参加施設は242。うち病院、医科・歯科診療所、調剤薬局が145、老健、障碍者支援施設、訪問看護ステーション、福祉施設等が94、その他3となっている。医療情報開示施設は5病院と医療圏南部の地域電子カルテNet4U利用施設、検診センターである。

最も利用されているコンテンツは医師記録で、アクセス件数は他の100倍以上であり、特に訪問看護ステーションや介護事業所から多く閲覧されている。事前に情報収集してから退院前カンファランスが出来ることで、カンファランス時間が半分になった、などの効果が出ている。以前は患者家族を通して、医師の説明内容を確認し、医師に伝達を依頼していたことが、直接カルテからの記録閲覧が可能となり、業務が格段に効率化された。訪問看護ステーションも介護事業所も、特に医師との連絡調整にこれまで苦労してきたが、診療録の全開示がこれを飛躍的に改善させた結果、より本来業務に時間を使えることに繋がっている。

今後、更に少なくなる人手を考えると、この分野の労働生産性向上は高齢化の進む地域には必要不可欠で、「ちょうかいネット」は日本海HCN運営成否の重要なカギの一つと考えている。現在、ヘルパーなど訪問介護員の平均年齢は既に53歳を超え、70歳以上も1割とされる。2040年には1970年代前半生まれの団塊ジュニアが高齢期に突入し、65歳以上の4割を80歳以上が占める時代に入る。介護人材の有効求人倍率は現在4倍に近く、地方では特に確保が困難を極めている。若い担い手の確保には待遇改善と労働生産性向上が必須で、このためには多職種の垣根を超えた情報共有システムが不可欠と考える。

栗谷義樹(山形県酒田市病院機構理事長)[地域医療連携推進法人]

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