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肝細胞癌の治療における肝移植の位置づけは今後どのように変わっていくか?

No.5071 (2021年07月03日発行) P.46

市田晃彦 (東京大学医学部附属病院 肝胆膵外科・人工臓器移植外科)

長谷川 潔 (東京大学医学部附属病院 肝胆膵外科・人工臓器移植外科教授)

吉住朋晴 (九州大学大学院消化器・総合外科准教授)

登録日: 2021-07-05

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  • 近年,わが国における肝細胞癌(hepatocellular carcinoma:HCC)に対する肝移植適応基準が拡大され,ミラノ基準もしくは5-5-500基準を満たす患者,すなわちJapan基準を満たす患者が肝移植の対象となりました。5-5-500基準を満たす患者にも保険が適用されるようになることでHCCの治療における肝移植の位置づけは変化するでしょうか。新基準の導入以外にも今後どのような変化が予想されるでしょうか。九州大学・吉住朋晴先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    市田晃彦  東京大学医学部附属病院 肝胆膵外科・人工臓器移植外科

    長谷川 潔  東京大学医学部附属病院 肝胆膵外科・人工臓器移植外科教授


    【回答】

    【適応基準拡大により,肝細胞癌(HCC)合併例の肝移植数増加が予想される】

    肝移植は背景の肝硬変も含めた治療であり,理論上はこれにまさるHCCに対する治療法はないと言えます。わが国では最近までミラノ基準(CT/MRIで「腫瘍径5cm以下で腫瘍数1個」あるいは「腫瘍径3cm以下で腫瘍数3個以下」)を満たすHCCに対する肝移植に保険が適用され,脳死肝移植登録基準もミラノ基準内HCCでした。2018年末までの初回成人間生体肝移植5741例中,HCC合併例は1680例(29.3%)に達しています。一方,2018年末までの成人初回脳死肝移植365例中のHCC合併例は30例(8.2%)のみでした。長期にわたる脳死肝移植待機期間中にHCCの進行によりミラノ基準から逸脱し,脳死肝移植(国内では年間100例に満たない)を受けられなかった症例が多数あると考えられます。

    わが国では2019年に脳死肝移植,2020年に生体肝移植の適応基準がJapan基準(5-5-500基準またはミラノ基準)に拡大されました。5-5-500基準とは,CT/MRIで「腫瘍径5cm以下かつ腫瘍数5個以下かつAFP 500ng/mL以下」のHCCを指します。当科では九州大学基準内HCC(腫瘍径5cm以下あるいはPIVKA-Ⅱ 300mAU/mL以下)症例を生体肝移植の施設適応として,2020年末までにHCC 256例に生体肝移植を施行してきました。ミラノ基準外は75例で,このうち31例(41.3%)はJapan基準内でした。この結果から,今後保険適用内での生体肝移植数の増加が予想されます。

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