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浸潤性膵管癌の化学療法の進歩と外科治療の位置付け

登録日: 2021.05.21 最終更新日: 2026.02.21

日比泰造 (熊本大学大学院生命科学研究部小児外科学・ 移植外科学講座教授/ 熊本大学病院移植医療センター長) 藤井 努 (富山大学学術研究部医学系 消化器・腫瘍・総合外科教授)

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薬物治療の進歩で浸潤性膵管癌の術前・術後治療が非常に強力になった現在,かつての研究では否定された神経叢郭清や傍大動脈周囲リンパ節郭清,動脈合併切除の意義・有効性は今後,どのように変化しうるでしょうか。
富山大学・藤井 努先生にご回答をお願いします。

【質問者】

日比泰造 熊本大学大学院生命科学研究部小児外科学・ 移植外科学講座教授/ 熊本大学病院移植医療センター長


【回答】

【どんな膵癌でも主治療は化学療法。手術はあくまで補助療法】

1980年代頃まで追求されつづけてきた「メスで膵癌を治す」という挑戦は,偉大な先人の卓越した技術をもってしても,残念ながら良い結果を生んだとは言えませんでした。どれほど繊細な神経叢郭清,徹底的なリンパ節郭清を行ったとしても膵癌細胞は必ずと言ってよいほど遠隔臓器に再発してきた事実を真摯に受け止め,「膵癌は全身疾患であり,手術などの局所治療のみでは完治させることはできない」ということを,まずはしっかりと認識する必要があります。

2019年のASCO-GI(American Society of Clinical Oncology Gastrointestinal Cancers Symposium)で発表された,術前ゲムシタビン+S-1の優越性を示したPrep-02/JSAP05試験1)の結果は膵癌治療の歴史において大変意義深く,貴重な一歩を踏み出したと思っていますが,「膵癌=全身疾患」という事実を鑑みると驚くには値しないのかもしれません。全身疾患なのであれば第一選択(=主治療)はやはり薬物療法であるべきだろうと思いますし,個人的には切除可能膵癌であってもさらに強力な化学療法が望ましいのではないかと思っています。


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