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【識者の眼】「低用量ピルと新型コロナウイルス感染症・ワクチン」柴田綾子

No.5065 (2021年05月22日発行) P.61

柴田綾子 (淀川キリスト教病院産婦人科副医長)

登録日: 2021-05-10

最終更新日: 2021-05-10

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新低用量ピル(OC・LEP)ガイドラインの最新版が2021年3月25日に発売されました。今回は、2015年度版から更新された項目をいくつかご紹介します。

1. ピル内服の年齢に関して:低用量ピルの内服開始は旧版も新版も「初経発来後から」ですが、上限が変更されました。旧版では40歳以上は慎重投与でしたが、新版では「投与可能であるが、有益性と危険性について十分に検討する」となりました。40代でも血栓症のリスクに注意しながら50歳または閉経(の早い方)まで継続処方できる形に広がりました。

2. 周術期のピルについて:旧版は「30分を超える手術」では術前4週間前の内服中止を推奨していましたが、新版では「45分を超える手術では」に変更されました。歯科治療や日帰り手術など、45分以内で終わる小手術ではピル内服は継続できます。妊娠初期の人工妊娠中絶手術では、直後から確実な避妊法として低用量ピルの内服を開始できます(推奨レベルCからBへアップ)。また、もしピルを内服中の患者が、緊急手術を避けられない場合は、術後に血栓症予防を行うことが追加されました。

3. 新型コロナ感染症とピルについて:新型コロナウイルスに感染した場合、血栓症のリスクが増加することが報告されています。新版では、新型コロナウイルス感染症の軽症時には低用量ピル以外の避妊方法を検討する(例:コンドーム、子宮内避妊具など)、呼吸症状の出現や重症時にはピル内服を中止し抗凝固療法(低分子ヘパリン投与)などを検討することを提案しています。一方で、新型コロナのワクチン接種のために、ピル内服を中止するような推奨・指針は出ていません。現時点では、新型コロナのワクチン接種前後に低用量ピルの内服を中止する必要はないと考えられます。

※OC:oral contraceptive 経口避妊薬、LEP:low dose estrogen progestin 低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬

【参考文献】

▶日本産科婦人科学会/日本女性医学学会:OC・LEPガイドライン2020年度版

▶日本産科婦人科学会:OC・LEPやHRTなどのエストロゲン製剤使用に関する注意(2020年8月3日)

  [http://www.jsog.or.jp/modules/committee/index.php?content_id=147

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柴田綾子(淀川キリスト教病院産婦人科副医長)[ガイドライン改訂]

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