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【識者の眼】「コロナワクチン接種を終えて─副反応経験と国家百年の計」邉見公雄

No.5064 (2021年05月15日発行) P.59

邉見公雄 (全国公私病院連盟会長)

登録日: 2021-04-27

最終更新日: 2021-04-27

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やっと私もコロナワクチン2回の接種を終えた。1回目は3月3連休明けの23日。後期高齢者で糖尿病患者、そして一応医療従事者なので優先接種を受けた。数十年前に強いアレルギー反応の経験もあり不安であったが、接種当日は痛みも余りなく終了。しかし、接種後の安静のために自室に帰ろうと階段に向かい数段昇ると足が動きにくくなり、エレベーターに。乗ってすぐに瞼が腫れぼったくなったかと思うと首筋の後ろに痒みを覚え軽い眩暈も。ほうほうの体で自室に辿り着き水を飲んで椅子に座って15分。症状は悪化することなく少しずつ治まった。当日は兵庫県庁で年度末のデスクワークがあった。新幹線に乗ったものの副反応なのか眠気に襲われ危うく新神戸駅を乗り越しそうになった。帰宅後は風呂にも入らず麺類のみの夕食ですぐに就寝。幸い翌日は筋肉注射の軽い痛みのみで通常の生活に戻れた。

さあ2回目をどうしたものか? 2回目の副反応は1回目より強く、割合も格段に多いとの報告が相次ぎ、ほぼ確実にという証明もされてきていた。1回目で抗体が出来たら2回目は必要ないかもと考え、担当の医師に相談すると「1回目で50%、2回目で95%位抗体が出来る」と。前回は、故郷の弟や親友夫妻が官舎に泊りがけで訪れ、隣町の日生へ牡蠣を食べに出かけたりゴルフをしたりとオーバープレー(遊びすぎ)だったのも原因かと反省し、万全の準備で2回目の接種を受けることとした。

接種に際して小生が代表を務めるNPO法人地域医療・介護研究会JAPANの研究員から「会員や一般の方々にもワクチン接種の重要性を周知、広報のために先生をモデルに動画を撮っては」と提案され採用。撮影許可を院長や看護部長、担当医からいただき接種に臨んだ。結果、きわめてスムーズ。翌日のみ自宅で静養、軽い倦怠感のみ。以上がワクチン接種協奏曲とも言うべき私の経験である。この動画を見たい方はYouTube(https://www.youtube.com/watch?v=Dy29-trf93c)でご確認を。幸い小生は終わったが、医療関係者でも未接種のまま高齢者の接種に駆り出されていると聞く。もしワクチン十字軍が必要なら空海に誓って駆け付ける心構えは持っている。

ワクチンに関しては、インドや中国でも自国製なのに科学技術立国を掲げるこの国はどうしたのだろう。国立大学の運営交付金を毎年漸減、私学助成金も減額、薬価も抑えてきたつけが出たのであろう。この星の大先輩のウイルスは、我々が何千年何万年もかけて変化するのを1年位でやり遂げる。ワクチンは国家百年の計ではなかろうか?

邉見公雄(全国公私病院連盟会長)[新型コロナウイルス感染症]

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