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先天性溶血性貧血[私の治療]

No.5055 (2021年03月13日発行) P.33

亀﨑豊実 (自治医科大学地域医療学センター地域医療支援部門教授)

登録日: 2021-03-11

最終更新日: 2021-03-10

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  • 先天的な遺伝子異常が原因で,赤血球寿命が短縮して生じる貧血の総称である。赤血球膜異常症,ヘモグロビン異常症,赤血球酵素異常症に大別される。日本の溶血性貧血患者の約70%が赤血球膜異常症で,その90%以上は遺伝性球状赤血球症である。ヘモグロビン異常症ではサラセミアの頻度が高く,多くはβサラセミアである。赤血球酵素異常症ではグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PD)異常症が最多で,ピルビン酸キナーゼ(PK)異常症がこれにつぐ。

    ▶ 診断のポイント

    通常,貧血と黄疸を認め,しばしば脾腫を触知する。ヘモグロビン尿や胆石を伴うことがある。検査所見として,へモグロビン濃度低下,網赤血球(Reti)増加,血清間接ビリルビン値上昇,尿中・便中ウロビリン体増加,血清ハプトグロビン値低下,骨髄赤芽球増加を認める。直接クームス試験やPNH血球解析,ADAMTS13活性測定により,後天性溶血性貧血を除外する。赤血球形態異常や家族歴,病型特異的検査で診断する。

    【遺伝性球状赤血球症】

    常染色体優性遺伝が約70%,孤発例や常染色体劣性遺伝,成人発症例もみられる。末梢血で小型球状赤血球症を呈し,赤血球浸透圧抵抗試験が減弱し,家族歴が証明されれば診断となる。赤血球EMA結合能測定も診断に有用である。

    【サラセミア】

    常染色体劣性遺伝(小球性赤血球症としては優性遺伝)で,ホモ接合で重症,ヘテロ接合の軽症型でも妊娠や感染で一過性に貧血の増悪をきたす。無効造血を認め,小球性低色素性貧血を呈し,奇形赤血球や標的赤血球を認める。ヘモグロビン分画を確認し,遺伝子検査で確定する。

    【G6PD異常症】

    X連鎖性劣性遺伝でヘミ接合の男性で問題となる。平常時は明らかな貧血症状はないが,感染やソラマメの摂取,解熱薬,マラリア治療薬などで急性溶血発作を起こすため,これら誘因を避けることが必要となる。

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