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【識者の眼】「まさかの事態〜家族がコロナ感染者になるなんて〜その後」中村悦子

No.5055 (2021年03月13日発行) P.62

中村悦子 (社会福祉法人弘和会「訪問看護ステーションみなぎ」管理者)

登録日: 2021-03-03

最終更新日: 2021-03-03

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今年1月7日、看護師をしている息子夫婦が新型コロナウイルスの感染者と判明しました。原因はお嫁さんの実家の家族との大人数での会食でした。しかもお嫁さんはその後に発熱したけれど自らが感染しているとは思わず1日出勤したことが判明し、結果的に濃厚接触者と判断された同僚は出勤停止となり、外来機能も一時的にストップしました。地域でもデイサービスが営業を停止するなど、院外にまで多大な迷惑をかけてしまいました。

公務員である息子夫婦は市からヒアリングを受け、懲罰委員会で審議され訓告処分を受けました。注意喚起されていたことを守らなかったのだから当然の処分なのかもしれません。その後、お嫁さんは勤務していた病棟の同僚から「一緒に働きたくない」と言われたそうで、コロナ病棟勤務になりました。この話を聞いて本当に胸が痛みました。そんな話を主人にしたところ「俺だって、あいつらの家に差し入れを持っていくところを見た会社の人から『出勤するな』と言われたり、出勤したのを見た社員がこれ見よがしに窓を全開にしたり大変だったんだ」と打ち明けられて驚愕しました。「コロナハラスメント」という言葉が浮かびました。1月、2月は本当に人の心が見える時期でした。

「私は患者さんからもスタッフからも仕事するなとは言われなかったし良かった」と主人に言ったところ「お前は抱えている仕事が多いから、みんなは来てほしくないけど、代わりもいないし言えなかったんだろう」と言われてしまいました。ほとんどすれ違い生活の夫婦ですが、ごもっともな意見で反論できませんでした。

訪問看護の人手不足、そんな課題もさらに浮き彫りになりました。GoToトラベルも中止となり、能登の町並みは閑散としています。しかし春にはまた帰省客や観光客が押し寄せそうな気配があります。引き続き自己管理を怠らず、感染対策、コロナフレイル対策に挑んでいきます。

中村悦子(社会福祉法人弘和会「訪問看護ステーションみなぎ」管理者)[新型コロナウイルス感染症]

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