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【識者の眼】「新型コロナ対策、足りなかったのは中長期の目標と希望を共有することか」和田耕治

No.5046 (2021年01月09日発行) P.59

和田耕治 (国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授)

登録日: 2020-12-25

最終更新日: 2020-12-25

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安心して年末と正月を迎えるという目標を達成するためのチャンスは幾度となくあったはずである。しかし、そこを目指した対応が、特に東京都では十分にとられなかったことは残念である。既に感染対策の主体は、政府から自治体、特に都道府県の知事、そして市民や地域へと移っていたということであり、今後は、さらにその方向が強まるであろう。新型コロナウイルスに対応する特別措置法改正の議論もその流れであろう。ある意味では新しい地方自治の時代が始まろうとしている。知事や首長には、単なる有名人ではなく、こうした難局を乗り越えられる人が求められる。

一方で、新型コロナが流行して初めての冬であり、欧米での大きな感染拡大と比較して日本がここまでに抑えられているということは、それなりに対策を頑張った成果とも言えないわけではない。札幌や大阪の取り組みとその成果は一筋の光明である。

この1カ月何が足りなかったのか。それは、中長期のあるべき姿が共有されなかったことにあるのではないか。いつまでに、こういう状態を作ろうというコンセンサスを得て、そこには希望も共有できるようにする必要があったのかもしれないと今は思う。また、そうしないとこうなるという状況との差についても。

12月28日〜1月11日に全国で停止されるGo Toトラベルなどを政府は1月12日から再開したいと考えていると、私は思っていた。しかし、重症者数のピークは感染者数のピークの2週間ほど後に来るが、まだ感染者数のピークを迎えてない。さらに今後、重症者は増えることが想定されており、1月12日までに感染が落ち着いた状態になるというのは難しい。

東京はオリンピックを7カ月後に控えている。様々な準備をしないといけないが、医療現場でも自治体でも、そんな話ができるような状態ではない。ここでいったん感染者が減れば、準備もでき、また、東京の感染を押さえ込んだことを世界に発信することはとても重要と思われるが、そういう意図も見えてこない。

私が今一番期待しているのは経済界である。感染者を減らすことは、医療だけでなく、経済にも、生活にも重要なことである。そういう意味ではもっと経済界からも感染者を減らす重要性を発信して、そして対策の推進にももっと参画していただきたい。経済と感染対策が同じ方向を向くことは、この難局をより効果的に乗り越えられることにつながる。

※この記事は12月24日の夜に執筆しました。

和田耕治(国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授)[新型コロナウイルス感染症]

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