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特集:ショック!の輸液戦略

No.5044 (2020年12月26日発行) P.18

川上大裕 (神戸市立医療センター中央市民病院麻酔科副医長)

登録日: 2020-12-25

最終更新日: 2020-12-23

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2009年大分大学医学部卒業。麻酔科所属ではあるが,麻酔をかけられない内科系集中治療医。“Less is more”をモットーに,ICU患者の長期QOL改善を目標に,日々集中治療に励んでいます。

1 ショックとは何か?
・ショック=組織の低酸素
・循環の維持=①酸素需給バランス,②灌流圧の維持
※乳酸値上昇,SvO2(ScvO2)低下は組織低酸素を示唆

2 ショックの分類
①循環血液量減少性ショック,②血液分布異常性ショック,③閉塞性ショック,④心原性ショック

3 ショックの初期評価と輸液
・ショックの診断:頻脈,頻呼吸,3つの窓(①〜③)
※ショックを疑った際にまずやること→鑑別(RUSH exam)と輸液投与

4 フェーズでとらえる輸液戦略
①Salvage期:蘇生期。灌流圧維持が目標。輸液投与,カテコラミン開始
②Optimization期:不安定期。酸素需給バランスの維持が目標
③Stabilization期:安定期。輸液はほぼ不要,カテコラミン減量
④De-escalation期:回復期,利尿期。元の体液量に
※患者がどの輸液のフェーズかを意識し,必要な輸液量をイメージする

5 輸液製剤の選択
・理論的には輸液投与量は晶質液:膠質液=4:1
・実際にはcapillary leakにより晶質液:膠質液=1:1〜1.5:1
※ショック時の輸液製剤の第1選択は晶質液

6 輸液反応性と輸液必要性
・輸液を行ってCOが上昇する=輸液反応性がある
・輸液反応性:晶質液を250〜500mL投与し,COが10〜15%以上上昇
・輸液必要性(酸素需給バランス,灌流圧が維持されていない)があり,かつ輸液反応性がある場合に輸液を行う

7 輸液反応性の評価
(1)静的指標:圧指標(CVPやPAWP),容量指標(左室拡張末期容積)
(2)動的指標:①CO変化を見るもの,②呼吸性変動を見るもの
①CO変化を見るもの
・輸液チャレンジ:輸液反応性評価のゴールドスタンダード
・PLRテスト:受動的な下肢挙上によりCOが10%以上増加
②呼吸性変動を見るもの
・SVV,PPV,SPV>13%=輸液反応性あり

伝えたいこと
・輸液反応性の指標は,1つのパラメータで判断しない
・輸液必要性がある場合→輸液反応性評価→「輸液のフェーズで血行動態を予測」「肺水腫や臓器うっ血などの輸液の害」を考慮した上で,最終的に輸液を行うかどうかを判断

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