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【識者の眼】「『地域連携室』の来し方と行く先」小林利彦

No.5034 (2020年10月17日発行) P.64

小林利彦 (浜松医科大学医学部附属病院医療福祉支援センター特任教授)

登録日: 2020-09-25

最終更新日: 2020-09-25

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近年、施設内に「地域連携室」が設置されていない病院は極めて少ないと思われるが、その位置づけと役割はこれまでの歴史的経緯の中で大きく変化してきた。当初、第3次医療法改正(1997年)での地域医療支援病院制度の発足や2000年度診療報酬改定における「急性期病院加算」の新設などを通じて、紹介率や逆紹介率の高い施設への経済的インセンティブが付与され、地域連携室という部署が一定規模の病院には設置された。その後、2006年度診療報酬改定で紹介率に関係する加算は廃止されたが、当時、在院日数の短縮に向けて看護部を中心に運営されていた「退院支援部門」との連携業務や、地域連携パスを活用した回復期リハビリテーション病院への転院支援などに地域連携室が深く関わるようになり、現在は前方連携だけでなく後方連携への注力も進められている。とはいえ、地域連携室に期待される本来の役割は病院の出入口におけるマネジメント機能であり、紹介患者の確保や入退院支援を通じた地域住民およびかかりつけ医等への貢献活動にあると考える。

そのような意味では、今回の新型コロナウイルス感染症の蔓延を通じて、今後どのような対応姿勢を示せるかが問われている。実際、受診抑制などを含む外来患者数の減少に対しては、自施設の特長(強み)を院外に広報する司令塔的な役割があるとともに、必要に応じてオンライン診療等を上手く活用し患者サービスの向上にも寄与すべきである。その一方で、地域医療支援病院には「災害医療」や「感染症医療」への取り組みが期待されており、地域住民からの要望や期待等に応えるためにも、かかりつけ医と自施設との連携窓口として更なる対応力強化が望まれる。

一昔前までは紹介患者の予約業務を担うコールセンター的な応対が中心であったかもしれないが、これからは激動する社会環境の変化に伴い的確な企画提案を行っていく機能も求められており、経営企画室などと同様に優秀な事務職員を配置し医療従事者との協働が期待される部署となっている。

小林利彦(浜松医科大学医学部附属病院医療福祉支援センター特任教授)[地域医療]

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