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造血器腫瘍に対する免疫チェックポイント阻害薬治療の現状と今後の展望は?

No.5031 (2020年09月26日発行) P.52

髙松 泰 (福岡大学医学部腫瘍・血液・感染症内科学教授)

田村秀人  (獨協医科大学埼玉医療センター 糖尿病内分泌・血液内科教授)

登録日: 2020-09-24

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  • 造血器腫瘍に対する免疫チェックポイント阻害薬(immune checkpoint inhibitor:ICI)治療の現状と今後の展望についてご教示下さい。
    獨協医科大学埼玉医療センター・田村秀人先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    髙松 泰 福岡大学医学部腫瘍・血液・感染症内科学教授


    【回答】

    【一部の造血器腫瘍の病勢をコントロールできる】

    わが国では,造血器腫瘍に対するICIとして,抗PD-1抗体薬が再発・難治性古典的ホジキンリンパ腫(classical Hodgkin lymphoma:CHL)に認可されています。CHLでは腫瘍細胞がPD-L1を高発現しており,抗PD-1抗体薬の全奏効率は約70%と,非ホジキンリンパ腫(non-Hodgkin lymphoma:NHL)の約30%と比べてきわめて良好です。

    PD-L1は,細胞傷害性Tリンパ球に発現するPD-1と結合してT細胞をアポトーシスに誘導します。PD-L1は,CHLのほか,原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(primary mediastinal large-B cell lymphoma:PMBCL),原発性中枢神経リンパ腫(primary central nervous system lymphoma:PCNSL),精巣原発リンパ腫(primary testicular lymphoma:PTL),びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma:DLB CL)や多発性骨髄腫(multiple myeloma:MM)の一部で高く発現しています。米国食品医薬品局は難治性PMBCLに対する抗PD-1抗体薬を既に承認していますし,再発・難治性PCNSL/PTLに対してニボルマブの臨床試験が進行中です。

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