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伝染性紅斑(リンゴ病)[私の治療]

No.5023 (2020年08月01日発行) P.39

新原寛之 (島根大学医学部皮膚科学講座講師)

登録日: 2020-08-02

最終更新日: 2020-07-29

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  • 伝染性紅斑(EI)は,ヒトパルボウイルスB19(HPV B19)の主に飛沫感染による感染症である。発熱,倦怠感,頭痛,筋肉痛などの前駆症状がみられた後,関節痛や紅斑などが出現し数日間で消失する。HPV B19感染に伴う症状として確立されたものとしては,EIのほか,関節炎,aplastic crisis,免疫不全患者における慢性赤芽球癆,胎児水腫がある。

    ▶診断のポイント

    【症状】

    通称リンゴ病と呼ばれ,小児に多く発症し,両頬の平手打ち様紅斑が出現し,1~2日後に四肢の網状紅斑が出現する。一方,成人では顔面の紅斑はむしろ少なく,風疹様紅斑,紫斑,手足の腫脹が出現し,発熱,関節痛,全身倦怠感などの全身症状を伴う点で小児とは異なる。通常3週間以内に治癒する。HPV B19感染は,EIのような予後良好な疾病だけではなく,多彩な前駆症状から始まり,発疹,関節,貧血,神経,心,肝,腎など広い感染スペクトラムを持つ疾病であることも明らかになっている。

    このような諸症状は成人において高率にみられ,EI発症例では発熱25%,頭痛50%,関節痛70%,関節腫脹60%,筋肉痛50%とされている。これに対し小児では発熱15%,頭痛20%,関節痛10%などと低率であるが,他の感冒様疾患とされる可能性があり,流行時には留意する必要がある。

    【検査所見】

    網赤血球:特異的検査ではないが,HPV B19の赤芽球前駆細胞と前期赤芽球への感染および破壊による網赤血球の減少が特徴的であるため,経過観察にも簡単で有用である。

    抗体:IgM抗体は前駆症状がみられた頃から検出され,1~3カ月で検出されなくなる。IgM抗体はワンポイントでの評価が可能であるが,IgG抗体の場合はペア血清での4倍以上の抗体価上昇が必要となる。しかしIgM抗体,IgG抗体ともに,妊婦症例以外には保険適用がなく,注意すべきである。血漿からのPCR法によるウイルスDNAの検出も可能であるが,同じく保険適用はない。IgM抗体,IgG抗体の検出を,できれば初回と2週後の2回行うことが望ましい。

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