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【識者の眼】「育休・産休だけじゃない! 職場で行う働く女性支援」柴田綾子

No.5022 (2020年07月25日発行) P.61

柴田綾子 (淀川キリスト教病院産婦人科副医長)

登録日: 2020-06-25

最終更新日: 2020-06-25

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緊急事態宣言が解除され、通常勤務に戻った方も多くなりました。新型コロナウイルスの影響で女性には大きな負担がかかっており、月経不順が増加しています(Yuksel B, et al:Int J Gynaecol Obstet. 2020;150(1):98-102.)。今回は、働く女性支援を紹介します。

1. 生理休暇

生理の症状が強い時に本人からの申請で取得可能な休暇です1)。医師の診察や診断書は不要で、日数に制限はありません。無給か有給かは企業の就業規則の取り決めによります。

*労働基準法「使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求した時は、その者を生理日に就業させてはならない」(労働基準法第68条)

2. 不妊治療連絡カード

日本では17人に1人が体外受精/顕微授精で出生し(2017年)、夫婦の約5.5組に1組が不妊検査/治療を受けたと回答しています。不妊治療では月経周期に合わせて2〜10日通院が必要であり、仕事を辞めざるを得ない女性が多くいます。不妊治療と仕事の両立支援について厚生労働省では「不妊治療連絡カード」や「両立サポートハンドブック」を作成しています2)。職場で不妊治療を公表したくない方もおり、理由申請不要な半日単位の有給休暇やフレックスタイム制度の導入は、不妊治療を受けながら仕事を続ける支援になります。

3. 介護休暇/休業

家族の介護が必要な時に申請でき、介護休暇は1年で5日まで、介護休業は分割可能で通算93日取得できます3)。介護休業中は企業に賃金の支払い義務はありませんが、介護休業給付金の申請が可能です。2017年の段階で介護休暇制度の規定がある事業所は60%しかありません(雇用均等基本調査)。これを機会に、就業規則に導入を提案してみてください。

4. 男性の育児休業・介護休業推進

妊婦・産後女性支援で重要なのは「パートナーが家事/育児に参加できる環境を作る」ことです。子供が生まれた男性の長時間/時間外労働を減らし育児休業の取得を推奨しましょう。育児休業・介護休業は男性にも取得権利があり、男性には「パパ休暇」「パパ・ママ育休プラス」の制度が新設されています。

*パパ休暇:出産後8週間以内の期間内に男性が育児休業を取得した場合、特別な事情がなくても再度男性が育児休業を取得できる。

*パパ・ママ育休プラス:両親がともに育児休業を取得する場合、原則子が1歳までの休業可能期間が、子が1歳2カ月に達するまでに延長される。

【文献】

1)厚生労働省:労働基準法のあらまし(女性関係)

   [https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000141982.pdf]

2)厚生労働省:仕事と不妊治療の両立について [https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/30.html]

3)厚生労働省:育児・介護休業法のあらまし

   [https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/dl/34_01.pdf]

柴田綾子(淀川キリスト教病院産婦人科副医長)[産業保健]

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