ダイエットが、今のように専ら体重の減量のための食養生という意味で日常使われるようになったのは、いつ頃からであろうか。確か、1970年代までは、本来の意味である日常の飲食物あるいは治療などのための規定食で、そこからダイエティシャン(栄養士)などの言葉が派生したと理解されていた。米国で耳にした減量食に特化した用法が、70年代後半以降わが国でも急速に使われるようになり、その意味だけのカタカナ語として定着してきたように思う。国民健康・栄養調査によると、20~30歳代女性の痩身の頻度は増えてきており、肥満との2極化が進んでいたので、言葉が現実を追いかけてきたと言えよう。
国立保健医療科学院では旧国立公衆衛生院時代から、母子健康手帳にも載っている乳幼児身体発育値および発育曲線を導く、国の乳幼児身体発育調査に携わってきた。それによると、新生児の出生時体重は30年ほど前から男女とも減ってきている。原因の1つに、若い女性の痩身志向に加え、「小さく産んで大きく育てる」という2000年代まで続いた妊婦教育が挙げられている。妊娠糖尿病による巨大児出生の防止や、妊娠高血圧症候群を予防することにより妊娠経過をよくするため、妊娠中の体重増加を抑える指導である。
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