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抗補体療法

No.5012 (2020年05月16日発行) P.47

小原 直 (筑波大学医学医療系血液内科准教授)

登録日: 2020-05-18

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 【様々な疾患で高い効果を認めている】

補体系はオプソニン化・細胞融解・走化作用など,自然免疫で重要な役割を担う一方,補体の制御異常は自己免疫疾患・炎症性疾患・変性疾患など様々な疾患に関与することが明らかとなっている。現在,補体制御薬としては抗C5抗体(エクリズマブ・ラブリズマブ)と遺伝性血管性浮腫に対するC1インヒビター製剤が臨床応用されている。

エクリズマブは補体成分のC5を特異的に抑制するヒト化モノクローナル抗体であり,終末補体活性化経路を阻害する。わが国では2010年に発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH),13年に非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS),17年に難治性全身型重症筋無力症(MG)に適応が承認され,これらに対する重要な治療手段となっている。

PNHではかつて対症療法や輸血などしか有効な手段がなかったが,溶血・腎不全・血栓形成などに対するエクリズマブのきわめて高い効果が認められ,PNH患者の予後延長・ADLの改善に貢献している。aHUSやMGでも高い認容性と効果が確認されている。エクリズマブは維持療法期でも2週に1回の投与が必要であり,患者の通院負担が問題であった。19年9月に認可されたラブリズマブはリサイクル抗体技術を応用して半減期を延長し,8週に1回の投与が可能であり,患者のADL向上に貢献することが期待されている。抗補体薬に関しては今後も様々な新薬の登場が予測される。

一方,C5b〜C9終末補体複合体は,莢膜形成細菌感染に対する免疫防御機構に関与しているため,髄膜炎菌や肺炎球菌などの莢膜菌感染の対策が重要である。特に,髄膜炎菌感染は無治療では急速に敗血症性ショックとなり,死亡率が高いために注意が必要である。

【解説】

小原 直 筑波大学医学医療系血液内科准教授

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