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【識者の眼】「デジタルヘルスとIoMT推進のためのエコシステム形成の必要性」猪俣武範

No.5011 (2020年05月09日発行) P.25

猪俣武範 (順天堂大学医学部眼科学教室、戦略的手術室改善マネジメント講座、病理管理学、准教授)

登録日: 2020-05-06

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2020年は新型コロナウイルスの世界的感染拡大に伴い、IoMTを用いたデジタルヘルスはより積極的に支持されるようになってきました。IoMTとはInternet of Medical Thingsの略で、医療機器とヘルスケアのITシステムをオンラインのコンピューターネットワークを通じてつなぐという概念です(一般社団法人IoMT学会より抜粋、https://iomt.or.jp/whatisiomt/)。これにより、遠隔診療やそのためのIoMT機器の開発はさらに加速していくと考えられます。

特に、新型コロナウイルスの感染拡大による医療体制の崩壊を最小限に抑えるためオンライン診療が注目されています。新型コロナウイルス感染拡大を防止する観点から、2020年2月28日の厚生労働省医薬・生活衛生局による「新型コロナウイルス感染症患者の増加に際しての電話や情報通信機器を用いた診療や処方箋の取扱いについて」の事務連絡があり、慢性疾患等を有する定期受診患者等が継続的な医療・投薬を必要とする場合に、電話や情報通信機器を用いた診療によるファクシミリ等の処方箋情報の送付が可能となりました。

また、近年の遠隔診療スタートアップ企業の資金調達件数は増加しており、新型コロナウイルス感染拡大により、各社は注目を集めることが予想されます。このようにデジタルヘルスの社会的ニーズは増加する一方ですが、本邦ではヘルスケア領域特有の規制が障壁となりスタートアップの参入や育成を阻んでいる現状もあります。そこで、内閣府を中心として「都市や大学を巻き込み起業家教育やアクセレータ機能を抜本的に強化し、制約を超えたスタートアップ・エコシステム都市の形成支援」を目指したスタートアップ・エコシステム拠点形成戦略に関する取組が行われています。ここでは、大学を中心としたエコシステムの強化が求められています。従来の医学教育ではなかなか網羅できていなかったアントレプレナーシップや産業創出に向けたビジネスなどの教育について見直すいい機会かもしれません。

猪俣武範(順天堂大学医学部眼科学教室、戦略的手術室改善マネジメント講座、病理管理学、准教授)[デジタルヘルス][IoMT]

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