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転移性心臓腫瘍[私の治療]

No.5009 (2020年04月25日発行) P.45

瀬戸達一郎 (信州大学医学部外科学教室心臓血管外科学分野教授)

登録日: 2020-04-28

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  • 悪性腫瘍が心臓・心膜へ転移する経路として,肺や縦隔からの直接浸潤,血行性転移やリンパ行性転移による遠隔転移,大静脈や肺静脈に発育した腫瘍の心臓内腔への血管内転移がある。心臓へ転移する頻度の高い悪性腫瘍の原発巣としては肺癌が最も多く,乳癌,メラノーマ,白血病,悪性リンパ腫などがある。

    ▶診断のポイント

    【症状】

    原発巣の症状が先行する例が多いが,心臓症状が先行して出現する場合もある。浸潤部位により多彩な症状が出現しうる。すなわち,胸痛や心囊水貯留,進行すれば心タンポナーデ徴候を示すこともある。浸潤が心筋にまで及べば,動悸やうっ血性心不全を呈することもある。

    【直接浸潤】

    心臓へ直接浸潤をきたす腫瘍で多いのは,肺癌あるいは縦隔腫瘍である。CT検診などの普及に伴い発見例が増加していること,症状が出やすいことより日常診療で経験することが多い。肺癌では,肺門部肺癌の増大に伴うことが多く,組織学的には扁平上皮癌が多い。心膜,左房への浸潤が多くみられ,心囊水貯留や心房・心室内へ進展した例では血栓形成を伴うことがある。縦隔腫瘍では,胸腺上皮性腫瘍,リンパ腫,胚細胞性腫瘍などがある。胸腺上皮性腫瘍は,解剖学的に心膜直上に位置しており,腫瘍の進展により容易に浸潤をきたす。

    【遠隔転移】

    リンパ行性転移では,肺門部や縦隔リンパ節の腫瘍の増大を伴っており,心膜へ転移することが多く,高度の心囊水貯留を伴うことも多い。血行性転移はリンパ行性転移とは対照的に心筋内転移の形をとることが多い。

    【血管内転移】

    心臓へ灌流する大静脈や肺静脈に発育した腫瘍が,心臓内腔へ直接進展することがある。腎癌は尿細管由来の腺癌で,腎実質腫瘍の90%を占める。腎癌は血行性転移が主であるが,容易に静脈内へ浸潤する。腎癌患者の4~10%に腎静脈,下大静脈への腫瘍血栓を形成する。婦人科領域では,静脈内子宮筋腫症や子宮内膜間質肉腫が,子宮周囲の静脈から下大静脈,さらには心臓にまで進展することがある。

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