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【識者の眼】「地域ケア会議の効果的開催のための“仕込み”〜運転免許自主返納と買い物弱者支援を例に」川越正平

No.5000 (2020年02月22日発行) P.22

川越正平 (あおぞら診療所院長)

登録日: 2020-02-24

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地域ケア会議には、個別ケースや地域課題の検討を通じて、高齢者個人に対する支援の充実とそれを支える社会基盤の整備を進めていく機能が期待されている。本稿では、筆者が医師会推薦委員として参画している千葉県松戸市内の一圏域において開催された会議をもとに、効果的に開催するための“仕込み”について紹介したい。

個別事例の会議において、運転に関する課題を抱えている認知症高齢者の事例が取り上げられたことを受けて、運転免許自主返納や買い物弱者支援が地域包括ケア推進会議の議題に選定された。事前に打ち合わせを行い、話題提供者として、警察署、バス会社、タクシー会社を招聘することとした。会議の席において、バス会社からは、運転免許自主返納者に交付される運転経歴証明書を提示すれば料金が半額になるノーカーアシスト優待証という企業努力が紹介された。一方、地域包括支援センターは、圏域で利用可能な移動支援に資する資源について収集した情報を紹介した。病院の送迎バスがスーパーに途中下車できるようにルートを変更した事例や、誰でも利用可能なパチンコ店の送迎バスの存在、自主返納者に対して配送料を割引しているスーパーの情報などである。さらに、自動車教習所やタクシー会社より、市役所から正式な依頼があれば、運転免許自主返納者への優遇策を検討するという前向きな回答が報告された。

買い物弱者支援については、全国の先進的な取り組みを検索する中で、船橋市の移動販売支援事業を見いだし、商工振興課をお招きした。高齢化とともに商店が衰退し買い物が困難と感じられる地域が増えていることへの対策として立案したという。検討の結果、「高齢者のみ世帯が50以上」「半径約500m以内で生鮮三品を買い揃えられない」などを条件として、対象として24地域を抽出した(https://www.city.funabashi.lg.jp/jigyou/nyusatsu/001/p069106_d/fil/24bunseki.pdf)。市は、移動販売車両駐車場所の調整を行い、プロポーザルにより事業者を選定した。事業が開始されたところ想定以上の反響があったことから、車両を開始時の2台から3台に増やす方向で準備が進められているとのことであった。事業の総支出から総収入を減じた額について年額200万円を限度に補助するという現実的な施策であることがわかり、会議に参加していた市民からは「我がまちにもこんな事業がほしい」という声が多く上がった。

松戸市では、15の日常生活圏域ごとに年4回の個別ケア会議と2回の推進会議を行い、市全域の会議(年2回)に報告している。過去4年間に蓄積された多くの会議での検討結果を20のテーマ・論点に整理しており(https://www.city.matsudo.chiba.jp/matsudodeikiiki/mokuteki/sonota/chiikikeakaigi.files/R1siryou5.pdf)、推進会議の議題選定や議論の整理に役立てている。さらに、年1回行われる市地域ケア会議研修会は、外部講師による講演に加えて、深い議論が行われた圏域からの報告を他の圏域関係者が聞く機会と位置づけている。これらの会議に期待される、個別課題の解決→地域課題の発見→地域づくり・資源開発→政策形成という好展開の経験蓄積とノウハウの共有に、今後も地域の力を結集する形で取り組んでいきたい。

川越正平(あおぞら診療所院長)[地域ケア会議][運転免許自主返納][買い物弱者支援]

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